Zoho SalesIQとは?サイト訪問者を「見て」「話しかけて」商談につなぐ機能を解説

Webサイトを持っている会社のほとんどは、訪問者との接点を問い合わせフォームひとつに頼っています。
ですが、サイトに来た人の大半はフォームを送りません。料金ページを3回見て、導入事例を読んで、それでも何も言わずに帰っていきます。こちらはその人が来たことすら知りません。
Zoho SalesIQは、この「見えていない訪問者」を可視化し、必要なタイミングで接点を作るためのツールです。この記事では、実際にどんなことができるのかを機能ベースで解説します。
※機能は変更されることがあります。本記事は2026年10月時点の公式サイトの情報をもとにしています。
Zoho SalesIQとは

Zoho SalesIQは、Webサイトやアプリの訪問者をリアルタイムに追跡し、チャットやボットで対応できるようにするツールです。
大きく分けると、次の3つの役割を持っています。
- 誰が、いつ、どのページを見ているかを把握する
- 条件に応じて、こちらから話しかける
- 得られた情報を顧客データとして蓄積し、営業につなげる
単なるチャットツールとの違いは、1番と3番があることです。
訪問者を「見る」
まず、サイトに来ている人をリアルタイムで一覧表示できます。確認できるのは次のような情報です。
- 名前(判明している場合)
- 所在地
- サイト上での操作
- 滞在時間
- 閲覧しているページ
さらに、訪問者を自社の基準で分類できます。「料金ページを見ている人」「3回以上訪問している人」といった単位で切り分けられるということです。
B2Bでは企業単位で把握できる
BtoBの事業では、この機能が効きます。
訪問者のメールドメインから企業を特定し、同じ組織に属する連絡先をまとめて管理できます。「A社から今週3人が見に来ている」という状況が分かるわけです。
稟議が動き始めると、担当者以外の人もサイトを見に来ます。その動きが見えるかどうかは、提案のタイミングを計るうえで大きな差になります。
見込み客の自動スコアリング
流入元、滞在時間、訪問回数などに基づいて、見込み客を自動的に点数化できます。
全員に等しく対応することはできないので、どこに時間を使うかを判断する材料になります。
条件を決めて「話しかける」
訪問者の状況に応じて、こちらからチャットを開始できます。これがプロアクティブチャットトリガーです。
起動の条件には、スコア、閲覧しているページ、滞在時間、特定の操作などを指定できます。
重要なのは、全員に出さないことです。 サイトを開いた瞬間に全訪問者へチャットを出す設定は、記事を読みに来ただけの人にとっては邪魔でしかありません。「料金ページに60秒以上滞在している人」のように、検討が進んでいる相手に絞るほうが、成果にも体験にもつながります。
チャットでできること
テキストのやり取りだけではありません。
- 音声メモ
- 音声通話
- 画面共有
- リモートアクセス(Zoho Assistを搭載)
リモートアクセスまで対応しているのは、サポート業務では大きな利点です。「操作が分からない」という問い合わせに対して、電話で説明するのではなく、画面を見ながら、あるいは直接操作して解決できます。
過去のチャット履歴を閲覧できるほか、一度解決したチャットを再開することもできます。
メッセージアプリにも対応

Facebook Messenger、Instagram、Telegram、WeChat、LINE、WhatsAppと連携できます。
国内のBtoC事業ではLINEからの問い合わせが主流になっている会社も多いはずです。それらをサイトのチャットと同じ画面で扱えるのは、運用上かなり効きます。
荒らし対策
不適切な用語を登録しておくと、該当するセッションを終了できます。IPアドレス単位でのブロックも可能です。
チャットを一般公開する以上、この種の対策があるかどうかは確認しておくべき点です。
ボットで自動化する
SalesIQのボットは、用途によって複数の作り方が用意されています。
コーディング不要のボットビルダー(Zobot)
画面上で会話の流れを組み立てるタイプです。「資料請求はこちら」「料金について知りたい」といった分岐を作り、定型的な問い合わせを自動化できます。
ナレッジベースを使う回答ボット
Zoho Ziaを搭載した、自然言語処理に対応するボットです。あらかじめ用意した記事やFAQをもとに回答します。
雑談への応答や、業界特有の用語を登録しておくこともできます。
カスタムボットとハイブリッド構成
プログラムで独自のボットを作ることもでき、Webhookで外部システムと接続できます。IBM WatsonやDialogflowとの連携にも対応しています。
さらに、回答ボットとコードレスボットを組み合わせたハイブリッドボットという構成も可能です。定型的な導線はボットビルダーで、自由な質問は回答ボットで、という使い分けができます。
答えられなかった質問が記録される
地味ですが、これは価値のある機能です。
ボットが回答できなかった問い合わせが記録され、発生回数も表示されます。
つまり、顧客が知りたいのに自社が用意していない情報が、自動的にリストアップされる ということです。これはナレッジベースの改善材料になるだけでなく、サイトのコンテンツ設計やFAQページの優先順位を決める材料にもなります。
振り分けと社内連携
チャットの振り分け条件には、流入元、ランディングページ、訪問回数、見込み客の段階などを指定できます。
運用面では次の機能があります。
- チャットの転送
- 担当者同士のグループチャット
- 社内掲示板
対応中に専門知識が必要になったとき、裏で相談しながら進められるかどうかは、応対品質に直結します。
カスタムウィジェット
ここは開発側の視点で注目すべき機能です。
チャット画面に、CRMや外部ツールの情報を表示するカスタムウィジェットを設置できます。さらに、データベースへの書き込みといった操作も可能 とされています。
つまり、対応している担当者が別の画面を開かずに、相手の契約状況や過去の履歴を見ながら話せる状態を作れます。自社システムの情報を呼び出す構成も組めるということです。
レポートと監視
担当者ごとのパフォーマンス指標を取得できます。
- 平均応答時間
- 同時に対応しているチャット数
- オンライン/アイドル時間
加えて、進行中のチャットをリアルタイムで監視し、必要に応じて管理者が会話に参加することもできます。新人教育の場面で有効です。
日次・月次のレポートをメールで自動配信できるほか、Zoho Analyticsと連携すれば、Zoho CRMやZoho Desk、Salesforce CRMのデータと統合した分析も可能です。
連携とモバイル対応
Zoho CRM、Zoho Desk、Zoho Analytics、Salesforce CRMのほか、ClearBitやLeadberryといった外部サービスと連携できます。
モバイル面では、iOS/Android向けの管理アプリに加えて、Mobilisten というモバイルSDKが提供されています。Android、iOS、React Nativeに対応しており、自社アプリの中にチャット機能を組み込めます。
自社でアプリを提供している会社であれば、アプリ内の問い合わせ導線をサイトと同じ仕組みで扱えることになります。
導入時に設計すべきこと
機能が多いぶん、設計を誤ると逆効果になります。実務的な注意点を挙げます。
出しっぱなしにしない
前述のとおり、全訪問者に無条件でチャットを出すのは避けてください。条件設計がこのツールの成否を分けます。
応答できない時間をどうするか決める
チャットを置いた以上、返信が来ないと印象が悪くなります。対応できない時間帯はボットに切り替える、あるいはフォーム形式に変える、といった設計を先に決めてください。
ボットと人の線引きを決める
すべてをボットで賄おうとすると、顧客の不満が溜まります。逆に全部を人が対応すると回りません。「一次受けはボット、条件を満たしたら人に引き継ぐ」という線をどこに引くかを、運用開始前に決めておく必要があります。
サイト側の情報が足りているか確認する
訪問者の行動を追跡しても、そもそも見るべきページがなければデータは生まれません。料金ページや導入事例が整っていない状態で導入しても、効果は限定的です。
まとめ
- SalesIQは訪問者の可視化、チャット、ボット、顧客データへの蓄積を1つで扱える
- 訪問者はリアルタイムで一覧表示でき、B2Bではメールドメインから企業単位で把握できる
- 条件を指定してこちらから話しかけられる。全員に出さない設計が前提
- 音声通話、画面共有、リモートアクセス(Zoho Assist搭載)まで対応
- LINEをはじめとするメッセージアプリと連携できる
- ボットはコードレス、ナレッジベース型、カスタム、ハイブリッドから選べる
- ボットが答えられなかった質問が記録され、コンテンツ改善の材料になる
- カスタムウィジェットで、チャット画面に自社の情報を表示できる
AndSoでは、Web制作とあわせてZoho SalesIQの導入設計、CRMと連携した商談化までの導線づくりを承っています。サイトの構造とチャットの条件設計を同時に検討できるため、「チャットは置いたが誰も使っていない」という状態を避けられます。「アクセスはあるのに問い合わせにつながらない」という段階からご相談ください。