Zoho Flowとは?アプリ同士をつなぐ自動化の仕組みと、Delugeとの使い分け

2026年10月03日

Zohoの記事を書いていると、どの製品でも同じ一文が出てきます。

「Zohoの製品は最初からつながります」

ではその「つながる」は具体的に何なのか。そしてZoho以外のサービスとはどうつなぐのか。その答えのひとつがZoho Flowです。

この記事では、Flowで何ができるのかを機能ベースで解説し、あわせてZoho CRMのワークフローやDelugeとの使い分けも整理します。

※機能は変更されることがあります。本記事は2026年10月時点の公式ドキュメントの情報をもとにしています。

Zoho Flowとは

Zoho Flowは、アプリ同士をつないで処理を自動化するためのツールです。

公式ドキュメントでは、フローを 「実行条件と一連の処理を組み合わせたもの」 と定義しています。つまり「何が起きたら」「何をするか」をセットで定義したものが1本のフローです。

画面上でブロックを並べて作るビジュアルビルダーが用意されており、プログラムを書かずに処理の流れを組み立てられます。

実行条件(トリガー)

フローが動き出すきっかけです。公式の概要ページには、次の2種類が挙げられています。

外部アプリのデータが変わったとき

たとえばZoho Formsでフォームが送信されたとき、といった形です。別のサービス側で何かが起きたことを起点にできます。

決まったスケジュール

毎日決まった時刻にメールを送る、といった定期実行です。

「何かが起きたら動く」と「時間が来たら動く」。自動化の起点は、基本的にこの2つに集約されます。

処理(アクション)

実行条件が満たされたあとに行う処理です。次のようなことができます。

  • 連携しているアプリのデータを更新する(CRMの連絡先を作成・更新するなど)
  • メールを自動送信する
  • あるアプリから情報を取得して、別のアプリに投稿する(CRMの情報をSlackのチャンネルに送るなど)
  • カスタム関数を実行する

3番目が、Flowの本来の役割を一番よく表しています。アプリAで起きたことを、アプリBに届ける。その橋渡しです。

ロジック

単純な一本道ではなく、条件によって動きを変えることもできます。

待機

次の処理に進むまで、指定した時間だけ止められます。「15分待ってからメールを送る」といった制御です。

問い合わせの直後に自動返信が届くのは当然として、その15分後に担当者からの連絡を送る、といった間の取り方ができます。

分岐

条件によって処理の経路を分けられます。公式の例では、商談金額が一定の基準を満たす場合だけSlackに通知する、という使い方が挙げられています。

「すべての案件を通知すると誰も見なくなる」という問題は、この分岐で解決できます。

データ関連付けと変数

地味ですが、実務ではここが要になります。

データ関連付けは、ある処理の出力を次の処理に値として渡す仕組みです。「フォームで受け取ったメールアドレス」を「CRMに登録する連絡先のメールアドレス」として引き渡す、という紐づけを指します。

変数は、実行条件や処理の出力値を保存しておく項目です。

自動化がうまく動かないときの原因は、ロジックの組み方より、このデータの受け渡しがずれていることのほうが多いです。設計時にはここを丁寧に見てください。

テンプレートから始められる

ギャラリーにフローのテンプレートが用意されており、そこから作成を始められます。

よくある組み合わせは用意されているので、まずテンプレートを開いて中身を見ると、どういう粒度でフローを組むべきかの感覚がつかめます。

作成の手順

公式ドキュメントに示されている基本の流れは、次のとおりです。

  1. 実行条件を設定する
  2. 処理を追加する
  3. 保存する
  4. テストして不具合を調べる
  5. 有効化する

4番が独立した工程になっている点に注目してください。作って即本番、ではありません。

運用で効いてくる機能

Flowは「作って終わり」ではなく、動き続けるものです。そのための機能が用意されています。

履歴タブ

実行ごとの記録を確認できます。時間で絞り込めるほか、処理ごとに入力と出力を確認して、どこで失敗したかを特定できます。

自動化を業務に組み込むうえで、この機能の有無は決定的です。「なぜか動いていない」を調べられない仕組みは、現場では使えません。

概要タブ

フローの成功率、直近の実行、接続しているアプリを確認できます。名前や説明の編集もここで行います。

テストとデバッグ

有効化する前に、テストデータを使ってフローを実行できます。使えるデータは、トリガー元アプリのサンプルデータ、直近のテストデータ、直近の実行結果から選べます。

各ステップの入力と出力を確認できるので、前述のデータの受け渡しが正しいかを事前に検証できます。

メモ

各ステップにメモを付けられます。自動で番号が振られ、1件あたり180文字までです。

これは引き継ぎのための機能だと考えてください。半年後の自分、あるいは別の担当者が見たときに「このステップは何のためにあるのか」が分かるかどうかで、保守のしやすさがまったく変わります。

ビルダーの操作性
  • 検索(トリガーや処理を名前で探す)
  • 自動整列(全ステップの配置を整える)
  • 取り消し・やり直し
  • ミニマップ(全体像を表示して任意の位置へ移動)
  • ズーム調整、画面に合わせる

フローが大きくなるほど、これらの有無が作業効率に効いてきます。

管理まわり

マイフローの画面で、フローの一覧表示、有効化と停止、削除、コピーができます。

ダッシュボードでは、フローの総数と状態の内訳(実行中・一時停止・下書き)を確認できます。

設定では、組織全体のフロー履歴、外部接続、ユーザーを管理します。編集できる範囲は、ユーザーの権限と役割によって決まります。

外部サービスとの接続は、TrelloやGmailなどのアカウントを紐づけて行います。

CRMのワークフロー・Delugeとの使い分け

ここが最も相談の多い論点です。Zohoには自動化の手段が複数あるため、どれを使うべきか迷います。

Zoho CRM内で完結するなら、CRMのワークフロー

CRMのデータだけを扱う処理であれば、CRM側のワークフローで組むのが基本です。項目の自動更新、通知、タスクの自動作成などが該当します。

わざわざ別製品を経由させる理由がありません。

複雑なロジックや大量処理なら、Deluge

条件が入り組んでいる、繰り返し処理が必要、一括で大量のデータを扱う。こうした場合はDelugeでカスタム関数を書くほうが確実です。

ノーコードのツールは、複雑になるほど画面上の管理が難しくなります。ある一線を越えたらコードで書くほうが、結果的に読みやすく保守もしやすくなります。

Zoho以外のサービスをまたぐなら、Flow

SlackやTrello、その他の外部SaaSとデータをやり取りする場合は、Flowの出番です。

ひとつずつAPIをつないで実装することもできますが、認証やエラー処理まで含めると手間がかかります。既製の接続が用意されているなら、それを使うほうが早く、保守も楽です。

運用側が自分で触るなら、Flow

もうひとつの判断軸があります。作ったあと、誰が面倒を見るか です。

Delugeで書いた処理は、修正するたびに書ける人が必要です。一方Flowは画面上で条件を変更できるので、運用担当者が自分で調整できる余地があります。

「通知の宛先を変えたい」程度の変更に毎回開発側を呼ぶ構成は、長期的には負担になります。頻繁に変わる部分はFlow、ロジックの核はDeluge、という分け方も現実的です。

なお、Flowの処理としてカスタム関数を実行することもできるので、両者は排他ではありません。

設計時の注意点

フローを作りすぎない

ひとつずつは小さくても、数が増えると全体像が見えなくなります。「このデータはどこで更新されているのか」が追えなくなると、障害時の調査が難しくなります。

名前と説明を必ず書く

概要タブで名前と説明を編集できます。作成時は内容を覚えていても、数か月後には分かりません。メモ機能とあわせて、将来の自分のために残してください。

失敗したときにどうするかを決める

自動化は失敗します。接続先のサービスが落ちることもあります。失敗したことに誰がどう気づくのか、気づいたあと手動でどう復旧するのかを、設計の段階で決めておく必要があります。

連携できるアプリは個別に確認する

Zoho Flowが連携できるアプリの数は、公式サイトでも参照するページによって記載が異なります。「数百」とするページもあれば「850以上」とするページもあります。

数の多さより、自社が使っているあのサービスが対象かどうか のほうが重要です。検討時には個別に確認してください。

まとめ

  • Zoho Flowは「実行条件と一連の処理を組み合わせたもの」をビジュアルに作る自動化ツール
  • 実行条件はアプリのデータ変更とスケジュールの2種類
  • 処理ではアプリのデータ更新、メール送信、アプリ間のデータ受け渡し、カスタム関数の実行ができる
  • 待機と分岐で、条件に応じた制御ができる
  • 履歴タブで処理ごとの入出力を確認でき、失敗箇所を特定できる
  • テストとデバッグを経てから有効化する手順になっている
  • CRM内で完結するならCRMのワークフロー、複雑な処理はDeluge、外部サービスをまたぐならFlow

AndSoでは、Zoho CRMの構築とあわせて、Flowによる外部サービス連携やDelugeを使った自動化の実装を承っています。「どこまでをノーコードで組み、どこからコードで書くべきか」という判断も含めてご相談いただけます。既存の業務フローを整理する段階からお手伝いできます。

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