Zoho Creatorとは?CRMでは足りない業務を自社仕様で作る、ローコード開発の考え方

2026年10月01日

Zoho CRMを導入して運用が回り始めると、必ずこの相談が来ます。

「この業務もZohoでやりたいんですが、CRMの商談管理とは形が違っていて」

製造の工程管理、現場の日報、備品の貸出管理、点検記録。顧客と商談を扱うCRMの枠に収まらない業務は、どの会社にもあります。かといって専用のシステムを一から作るほどの予算はない。結果、その部分だけExcelのまま残る。

Zoho Creatorは、この隙間を埋めるための製品です。この記事では、Creatorで何ができるのかを機能ベースで解説し、あわせてCRMとの使い分けについても整理します。

※機能は変更されることがあります。本記事は2026年10月時点の公式サイトの情報をもとにしています。

Zoho Creatorとは

Zoho Creatorは、プログラミングの専門知識が少なくても、Webとモバイル向けの業務アプリを作成・公開・管理できるローコード開発プラットフォームです。

ドラッグ&ドロップのビルダーで画面を組み立て、必要に応じてZoho独自の言語「Deluge」でロジックを書き足す。この二段構えが基本の使い方になります。

業種別の事前構築アプリも多数用意されているため、ゼロから設計せず、近いものを土台にして自社向けに手を入れる進め方もできます。

アプリを構成する4つの部品

Creatorのアプリは、大きく4つの部品でできています。この構造を理解しておくと、設計の見通しが一気に良くなります。

フォーム:データの入れ物

データを集めて保存する部分です。データベースで言えばテーブルにあたります。

氏名、メールアドレス、日付、ファイル添付など、入力の種類ごとに項目タイプが用意されており、扱うデータに合わせて選びます。

設計の起点は常にここです。どんな項目を持つか を決めることが、そのままアプリの骨格を決めることになります。

レポート:データの見せ方

フォームに溜まったデータを、読める形で表示する部分です。

フォームを作ると、表形式の一覧レポートが自動で1つ生成されます。そこから絞り込み条件や並び順を設定したり、グラフを含めたりできます。

重要なのは、1つのフォームから複数のレポートを作れる 点です。同じデータを、現場向けには「今日やる分だけ」、管理者向けには「全件を担当者別に集計」といった形で、別々に見せられます。

ページ:複数の情報を1画面に

複数の場所にあるデータを、1つの画面にまとめる部分です。

グラフ、ボタン、パネル、フォームやレポートの埋め込み、外部リンクなどを配置できます。業務の全体像を見せるダッシュボードや、作業の入口になるトップ画面を作るときに使います。

ワークフロー:処理の自動化

決まったタイミングや入力をきっかけに、一連の処理を自動実行する部分です。

そしてここで Deluge が使えます。単純な計算式から複雑な条件分岐まで記述でき、Zoho製品全体で共通して使える言語です。

Delugeが共通であることの意味

ここは実務上、かなり大きな利点です。

Zoho CRMでカスタム関数を書いた経験があれば、Creatorでも同じ言語がそのまま使えます。製品ごとに別の言語を覚える必要がありません。

逆に言えば、すでにZoho CRMを運用していてDelugeを書ける体制がある会社にとって、Creatorの導入ハードルは他社のローコードツールより明確に低いということです。

ユーザーと権限の考え方

Creatorで作ったアプリは、初期状態では非公開 です。作成者(管理者)だけがアクセスできます。

そこから、アプリ全体を共有するか、あるいは個別のフォーム・レポート・ページ単位で、ユーザーやグループに権限を割り当てていきます。

役割ごとに複数のロールを作成して権限を設定できるため、「現場スタッフは入力画面だけ」「管理者は全データと集計画面」といった分け方が可能です。

なお、公開設定をしたコンポーネントに限り、ログインなしでアクセスできます。社外から申込フォームを受け付けるような用途では、この使い分けが前提になります。

社外向けの窓口と、開発環境の分離

公式の製品カタログでは、アプリの構成要素として前述の4つに加えて、ユーザー、モバイル、ポータル、環境、外部連携、AIモデルが挙げられています。

ポータルは、取引先や顧客といった社外の人に使ってもらうための窓口です。社内用の画面とは別に、外部ユーザー向けのアクセス先を用意できます。

環境は、開発用と本番用を分けて管理するための仕組みです。稼働中のアプリを直接触らずに変更を試せるかどうかは、業務で使うアプリでは重要な条件になります。

いずれも詳細はプランによって扱いが変わる可能性があるため、要件に関わる場合は事前に確認してください。

外部サービスとの連携

Zoho製品群との連携に加えて、600以上のサードパーティサービス と接続できます。

また、REST APIのv2が提供されており、Creatorの機能を自社のアプリケーションに組み込むこともできます。既存の基幹システムとデータをやり取りする構成も組めるということです。

セキュリティと権限統制

業務システムとして使う以上、ここも確認が必要な項目です。公式カタログには次の内容が記載されています。

  • ユーザーのアクセスを追跡・監視・承認・制限できる
  • 役割ベースのアクセス制御
  • パスワード強度、IPアドレス制限、多要素認証、セッションタイムアウトの設定
  • データ操作履歴の監査ログ
  • 保存データはAES-256、通信はTLSで暗号化
  • OWASPに基づくセキュリティフレームワーク

準拠している規格として、GDPR、SOC 2 + HIPAA、ISO 27001、ISO 27017、ISO 27018、ISO 9001、SOC 1/SOC 2 タイプIIが挙げられています。

稼働率は月間99.9%を保証しており、状況はステータスページで確認できます。

CRMとCreator、どちらで作るべきか

ここが最も相談の多い論点です。判断の目安を整理します。

CRMで作るべきもの

顧客、商談、問い合わせなど、CRMが前提としている業務 です。

CRMにはパイプライン管理、売上予測、メール連携、営業向けのレポートといった仕組みが最初から組み込まれています。これらを自分で作り直すのは無駄が多く、品質も劣ります。

Creatorで作るべきもの

CRMの想定から外れる業務です。たとえば次のようなものが該当します。

  • 製造の工程管理、検査・点検の記録
  • 現場の日報、作業報告
  • 備品・車両・設備の貸出管理
  • 独自の申請・承認フロー
  • 業種特有の台帳管理

共通するのは、顧客と商談という軸では整理できないデータ構造を持っている ことです。CRMにカスタムタブを増やして無理に収めることもできますが、構造が合わないものを押し込むと、後から必ず歪みが出ます。

判断に迷ったときの基準

「そのデータは顧客に紐づくか」で考えると整理しやすいです。

顧客や案件にぶら下がる情報ならCRM側、それ自体が独立した台帳として存在するものならCreator側。この線引きで、大半のケースは判断できます。

そして両者は連携できるので、「CRMの商談から、Creatorで作った工程管理アプリへ情報を渡す」といった構成も可能です。分けることが分断を意味するわけではありません。

設計を始める前に決めておくこと

最後に、実際に作る際の実務的な話を書いておきます。

フォームの項目から決める

画面の見た目から考え始めると、後でデータ構造を作り直すことになります。何を記録するのか、それがどの単位で発生するのかを先に固めてください。

レポートは役割ごとに分けて作る

1つのレポートに全部を載せると、誰にとっても見づらくなります。現場用、管理者用と分けるほうが、結果的に使われます。

自動化は後から足す

最初から複雑なワークフローを組むと、検証に時間がかかって立ち上がりません。まず入力と一覧が回る状態を作り、運用しながら自動化を足していくほうが確実です。

現場に触ってもらってから広げる

ローコードの利点は、作り直しが速いことです。完璧な設計を目指すより、早く触ってもらって直すほうが、結果的に良いものになります。

まとめ

  • Zoho Creatorは、Webとモバイル向けの業務アプリを作るローコード開発プラットフォーム
  • アプリはフォーム(データの入れ物)、レポート(見せ方)、ページ(1画面への集約)、ワークフロー(自動化)で構成される
  • DelugeがZoho製品共通の言語なので、CRMで書ける人はそのまま応用できる
  • アプリは初期状態で非公開。役割ベースで権限を設計し、公開設定をしたものだけがログイン不要になる
  • 600以上の外部サービス連携とREST API v2が用意されている
  • CRMとCreatorの使い分けは「そのデータは顧客に紐づくか」で判断する

AndSoでは、Zoho CRMの構築とあわせて、Creatorによる業務アプリの設計・開発を承っています。デザインとシステムの両方を社内で行っているため、現場が実際に使える画面と、業務に合ったデータ構造の両方を踏まえた設計が可能です。「CRMには収まらない業務がExcelのまま残っている」という段階からご相談ください。

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