問い合わせから受任まで。士業事務所の歩留まりの測り方
「先生、先週問い合わせがあった件、どうなりましたか」。朝礼でそんな会話になったことはないでしょうか。電話を受けたのは事務員、折り返したのは別の先生、相談者とは結局つながらないまま時間だけが過ぎていく。問い合わせは月に何十件とあるのに、実際に契約までたどり着くのはその一部です。どこで減っているのか、誰も把握していない。そんな状態で新規相談を回している事務所は、思っているより多いです。
問い合わせの数は数えていても、その先は数えていない
多くの事務所は、月間の問い合わせ件数を把握しています。ホームページの問い合わせフォーム、電話、紹介。経路別に数えていることもあるでしょう。ただ、そこから先の数字はどうでしょうか。初回相談の予約が取れた件数、実際に相談に来た件数、見積りを提示した件数、契約に至った件数。ここまで追えている事務所は、あまり多くありません。問い合わせ件数と受任件数だけが並んでいて、その間で何が起きているかは誰にも分からない状態になっています。
問い合わせから受任までに、実際に起きていること
ある社労士事務所を例に、相談が来てから受任するまでの流れを追ってみます。ホームページの問い合わせフォームから相談が届く。対応するのは受付担当か、手の空いた職員。内容を見て、担当する先生に転送する。先生は顧問先対応の合間に目を通し、空いた時間に電話をかける。相談者とつながらなければ、また後で、になる。ようやく日程が決まっても、先生のスケジュールと相談者の都合をメールと電話で何往復もして調整する。初回相談の当日、先生は過去のやり取りを思い出しながら話を聞く。相談者が「一度持ち帰って検討します」と言えば、それで終わり。次に連絡するかどうかは、その時の先生の記憶とタイミング次第になります。
どこで相談者が離れていくのか
問い合わせから受任までの間には、相談者が離れていくタイミングがいくつもあります。
- 折り返しの電話が翌日になり、その間に他の事務所に相談してしまった
- 日程調整に何往復もやり取りがかかり、相談者が面倒になって連絡を絶った
- 初回相談で聞いた内容が記録に残らず、二度目の面談で同じ説明をさせてしまった
- 見積りの提示が遅れ、相談者の熱が冷めてしまった
- 「検討します」で終わった後、誰もフォローの連絡をしなかった
どれも事務所側に悪気があるわけではありません。先生も職員も日々の業務に追われています。ただ、相談者からすれば、対応の遅さや説明の重複は「この事務所に頼んで大丈夫か」という不安につながります。
歩留まりを測るとはどういうことか
歩留まりという言葉は聞き慣れないかもしれません。ここでは単純に、問い合わせ件数のうち、どれだけが受任まで進んだかの割合だと考えてください。たとえば月に20件の問い合わせがあり、初回相談まで進んだのが15件、受任できたのが8件だとします。この場合、初回相談までの歩留まりは75パーセント、受任までの歩留まりは40パーセントです。この数字を毎月追っていくと、どの段階で相談者が減っているかが見えてきます。初回相談の設定でつまずいているのか、相談後の見積りで止まっているのか。原因が分かれば、手を打つ場所も絞り込めます。
まず自分の事務所でできること
専用のシステムがなくても、記録を残すところから始められます。
- 問い合わせが来たら、日付・経路・担当者をメモか表に残す
- 初回相談の日程が決まった日と、実際に相談を行った日を記録する
- 受任できたか、できなかったかを書き、できなかった場合は理由を一言添える
- 月末に件数を数えて、前の月と比べてみる
最初は紙やエクセルでも構いません。大事なのは、感覚ではなく数字で見ることです。「最近、問い合わせの割に契約が少ない気がする」という印象は、記録をつけてみると意外な段階でつまずいていることが分かったりします。
Zohoなら
Zoho CRMを使うと、問い合わせから受任までの流れを一つの画面で管理できます。問い合わせごとに「相談予約済み」「相談実施済み」「見積提示」「受任」といった段階を作っておけば、どの案件が今どこで止まっているかが一覧で分かります。先生ごとの対応件数や、段階ごとの滞留日数も後から振り返りやすくなります。日程調整の部分は、Zoho Bookingsを使うと相談者自身がWeb上で空いている時間を選んで予約できるようになります。電話やメールでの折り返しや日程の往復を減らせます。
もちろん、こうした仕組みがなくても、まずは自分たちで記録を取ってみることから始められます。続けてみて手間が負担になってきたら、その時に道具を見直すという順番でも遅くありません。大切なのは、問い合わせから受任までの間で何が起きているかを、感覚ではなく数字で見る習慣を持つことです。
And Soは、大阪を拠点に中小企業のDXを支援しているZoho導入パートナーです。顧客管理や業務の仕組みづくりについて、「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談いただけます。