Zoho Projectsとは?作業分解からガント、工数、課題管理までできることを解説

プロジェクト管理ツールは、導入したのに使われなくなる代表格です。
理由ははっきりしていて、多くの場合「入力する人の手間」と「見る人の得」が釣り合っていないからです。担当者が毎日ステータスを更新しても、それが自分の仕事を楽にしないなら、更新は止まります。
逆に言えば、機能をどう組み合わせるかで定着するかどうかが決まります。この記事では、Zoho Projectsで実際に何ができるのかを、プロジェクトの流れに沿って解説します。
※機能は変更されることがあります。本記事は2026年9月時点の公式サイトの情報をもとにしています。
Zoho Projectsとは

Zoho Projectsは、ゾーホーが提供するクラウド型のプロジェクト管理ツールです。タスクの計画と追跡、ガントチャートによるスケジュール管理、工数の記録、課題管理、チーム内のコラボレーションを1か所で扱えます。
Zohoの他製品と同様に、CRMやBooks、Analyticsといった自社アプリとの連携が前提に設計されています。GitHub、Slack、Microsoft Teams、Zapierなど外部サービスとの連携も豊富です。
なお、アジャイル開発向けには別製品のZoho Sprintsがあります。スプリントとバックログで回す進め方が主体ならそちらが適しますが、両方を扱いたい場合はProjectsとSprintsを連携させ、ハイブリッドな進め方も可能です。
作業を分解して整理する
Zoho Projectsの構造は、上から順に マイルストーン → タスクリスト → タスク → サブタスク という4階層です。
これは単なる入れ子ではなく、いわゆる作業分解図(WBS)の考え方に沿っています。「サイト公開」というマイルストーンの下に「デザイン」「実装」「コンテンツ」というタスクリストを置き、その中に個別タスクを並べる。この整理ができていると、後述するガントチャートやレポートが一気に意味を持ちます。
タスクの表示形式は3種類から選べます。
- クラシックビュー:タスクの詳細情報を網羅した一覧
- プレーンビュー:シンプルなリスト表示
- カンバンボード:ステータスごとに列分けされたカード形式
現場のメンバーはカンバン、管理側はクラシックビュー、という使い分けが現実的です。同じデータを別の見た目で扱えるので、役割ごとに無理のない運用ができます。
急ぎで何かを追加したいときのために「ユニバーサルアド」というタブも用意されており、タスク・課題・イベント・ドキュメント・ユーザーをまとめてここから追加できます。
ガントチャートで計画と実績のズレを見る
Zoho Projectsのガントチャートは、単に棒を並べるだけのものではありません。
タスクの依存関係 を設定でき、完了→開始だけでなく、開始→開始、完了→完了、開始→完了の4タイプを扱えます。「Aが終わってからB」だけでなく「AとBは同時に着手する」といった関係も表現できるということです。
そのうえで、次の2つが実務では効いてきます。
クリティカルパス
遅れるとプロジェクト全体の納期に影響するタスクの経路を特定します。すべてのタスクを等しく心配するのではなく、どこを死守すべきかがはっきりします。
ベースライン
当初の計画を保存しておき、現在の進捗と比較する機能です。定期的に取得しておくと、「いつからズレ始めたのか」が後から検証できます。振り返りの精度が上がり、次の見積もりに反映できるようになります。
計画を引いて終わりにせず、実績と突き合わせる。この使い方ができるかどうかが、プロジェクト管理ツールの投資対効果を分けます。
ロールアップで全体の数字を見る
タスクとサブタスクの予定作業時間・実績作業時間の合計や、タスクの総完了率をまとめて確認できる機能です。
個々のタスクを見ていると全体像を見失いがちですが、ロールアップを使えば「このプロジェクトは予定より何時間超過しているか」が一目でわかります。
ブループリントでプロセスを自動化する
タスクの進め方そのものを設計する機能です。
ステータスの遷移をあらかじめ定義しておき、次のような処理を自動化できます。
- ステータスが変わったら、適切な担当者を自動で指名する
- タスクの項目を自動更新する
- 変更をチームに自動通知する
たとえば制作案件なら、「デザイン完了」になった時点で自動的にコーディング担当へ割り当て、同時に確認依頼の通知を飛ばす、といった流れをドラッグ&ドロップで組めます。
ポイントは、手順から外れた進め方を構造的に防げることです。運用ルールをドキュメントで配っても守られませんが、ツール側で経路を固定してしまえば、そもそも外れようがありません。
課題管理でバグや問題を追跡する
タスクとは別に、課題(バグ・問題)を扱う専用の仕組みがあります。開発案件では、この分離が効いてきます。
課題管理まわりでは、次のような自動化が用意されています。
ビジネスルール
「特定の条件を満たしたら、課題の重大度を変更する」「担当者に自動で割り当てる」といったルールを、トリガーのタイミングとあわせて定義できます。
SLA
課題のエスカレーション基準を設定し、期限を超えそうな場合に必要な担当者へ通知します。放置された不具合が発覚するのを防ぐ仕組みです。
Webhook
独自のHTTP URLを設定してビジネスルールに紐づけることで、Zoho Projectsから外部システムへ通知を自動で飛ばせます。自社システムやチャットツールと連携させる際の基本になります。
カスタム機能
独自のコードを書いてプロセスを自動化できます。通知の自動化、Webhookの呼び出し、ビジネスルールをトリガーとした処理の実行などが可能です。標準機能で表現しきれない要件は、ここで解決します。
工数を記録して請求までつなげる
Zoho Projectsの時間管理は、記録して終わりではなく請求まで接続されています。
タイマーとタイムシート
タスク開始時にタイマーを動かすと、終了時に自動でタイムシートに記録されます。手動入力も可能です。記録は請求対象時間と請求対象外時間に分けられるため、「かかったが請求できない時間」も可視化されます。
承認フロー
管理者が従業員のタイムシートエントリーを承認・拒否できます。承認済みのデータを基に、給与計算や顧客への請求につなげる運用が組めます。
請求書作成
Zoho BooksやZoho Invoiceと連携させると、時間記録から請求書を自動作成できます。工数の入力が請求業務に直結するため、入力する側にもメリットが生まれます。
冒頭で触れた「入力する人の手間と見る人の得」の話でいえば、ここが最も分かりやすい解決策です。工数入力が請求と給与に直結していれば、記録は続きます。
予算とコストを管理する
プロジェクト単位で予算を設定し、コストを管理できます。
- 予定コストと実績コスト:時間あたりコストやユーザーごとのコストを基に算出
- 予算予測:予定・実績コストと現在の完了率から、最終的な総コストを推定
- 予算ステータスレポート:予定と実績をリアルタイムで比較
受託で仕事をしている会社にとっては、ここが導入目的そのものになることも多いはずです。「この案件は黒字だったのか」を、感覚ではなく数字で答えられるようになります。
予算予測があるのは実務的に大きく、赤字になりそうな案件を進行中に検知できます。終わってから振り返るのでは手遅れですから、この機能の価値は高いです。
人の配分を見る
人材管理(リソース使用率)
メンバーごとの作業配分を確認し、過負荷や手空きに応じて再割り当てできます。タスクを割り当てる時点で各人の状況が見えるため、「気づいたら特定の人に集中していた」という事態を避けられます。
予定時間と実績時間
割り当てたタスクについて、見積もり時間と実際にかかった時間の差を追跡できます。個人の進捗把握だけでなく、見積もり精度の改善材料にもなります。
Zoho People連携
従業員の休暇申請が承認されると、その情報がProjectsに自動反映されます。割り当ての前に、その日に稼働できるかを確認できるということです。休暇を見落として無理な計画を立てる、という事故を防げます。
チームで情報をやり取りする
コラボレーション機能もひと通り揃っています。
- フィード:プロジェクトの最新情報が流れる。コメント投稿、メンバーへのタグ付け、ファイル添付が可能
- メンション:ユーザー、役割、チーム単位で@メンションできる
- チャット:個人・グループのチャットルーム
- フォーラム:トピック単位で議論を残せる。情報の一元保管に向く
- ドキュメント:ファイルの作成・保存・共有。バージョン管理があるため、常に最新版にアクセスできる
- メールエイリアス:受信トレイから直接、メモの追加、コメント投稿、課題の整理などが行える
役割やチーム単位でメンションできるのは地味に便利です。担当者が変わるたびに個人名を追いかけなくて済みます。
自社の業務に合わせてカスタマイズする
標準のままで運用できることは、まずありません。カスタマイズの選択肢は次の通りです。
- レイアウト:プロジェクト、タスク、課題ごとにカスタムレイアウトを作成し、再利用できる
- カスタム項目:行、選択リスト、複数ユーザー、複数選択、日付、番号、メールアドレス、電話番号、URLなど
- カスタムステータス:業種やチームの実態に合わせた進捗状態を定義できる
- カスタムビュー:期限切れのタスク、優先度の高いタスクなどをワンクリックで表示
- テンプレート:プロジェクト、タスクリスト、タスク単位でテンプレート化できる
- タグ:作業項目やフォーラム投稿にタグを付けて検索性を上げる
- カスタムドメイン:自社ドメインをポータルにマッピングできる
制作会社や開発会社のように、案件ごとの流れがある程度決まっている業種では、テンプレート機能が効きます。 「Webサイト制作」のテンプレートを作っておけば、新規案件の立ち上げが数クリックで済みます。マイルストーンとタスクリストの構成を毎回考え直す必要がなくなり、抜け漏れも減ります。
レポートで状況を把握する
用意されているレポートは次の通りです。
- タスクレポート:ステータス、完了率、責任者、優先度別。全プロジェクト横断のグローバルレポートも可能
- 課題レポート:バグや課題の状況を深掘りする
- タイムシートレポート:作業時間の配分や、最も時間を要しているタスクを確認できる
- プロジェクトダッシュボード:予算、タスクと課題のステータス、期限切れ項目、チームの状況
- ポートフォリオのダッシュボード:ポータル内の全プロジェクトを俯瞰し、進捗・責任の所在・顧客・予算の状況を確認できる
複数案件を並行して回している会社なら、ポートフォリオのダッシュボードが経営レベルの判断材料になります。さらに踏み込んだ分析が必要なら、Zoho Analyticsと連携させることで50以上の既製レポートとカスタムレポートが使えます。
顧客をプロジェクトに招く
顧客ユーザーという枠が用意されており、クライアントをプロジェクトに追加して、タスクや課題の状況を見てもらえます。
進捗報告のために毎週資料を作っている会社であれば、その作業自体をなくせる可能性があります。プロファイル単位でアクセス許可を設定できるので、見せる範囲は制御できます。
他のツールと繋ぐ
Zoho製品との連携では、CRM(商談から案件へ)、Desk(問い合わせを課題へ)、Books・Invoice(工数から請求へ)、People(休暇情報)、Analytics(分析)、Cliq(チャット)、Sprints(アジャイル)などが用意されています。
外部サービスも幅広く、開発チーム向けにはGitHub、GitLab、Bitbucket、Giteaに対応しています。コミットの内容をZoho Projects側で確認できるため、コードの動きとタスクの進捗が結びつきます。
そのほか、Slack、Microsoft Teams、Microsoft 365、Googleカレンダー、Googleドライブ、Dropbox、Box、Zendesk、ServiceNow、Zapierなどにも対応しています。Zoho Flow経由なら300以上のクラウドアプリと接続できます。
他ツールからの移行
意外と知られていませんが、インポート機能が用意されています。
- Microsoft Project(.mpp/.mpx ファイル)からのインポート
- JIRA Cloud からのインポート
- Basecamp からのインポート
すでに他のツールで動いているプロジェクトがある場合、ゼロから入力し直す必要はありません。移行のハードルはこれで大きく下がります。
まとめ
- 作業分解図(マイルストーン→タスクリスト→タスク→サブタスク)で整理し、クラシック・プレーン・カンバンの3ビューで見る
- ガントチャートは依存関係4タイプ、クリティカルパス、ベースラインに対応。計画と実績のズレを追える
- ブループリントでタスクのプロセスを自動化し、手順から外れた進行を防ぐ
- 課題管理にはビジネスルール、SLA、Webhook、独自コードによるカスタム機能が用意されている
- タイムシートはBooks・Invoice連携で請求書作成まで繋がる。予算予測で進行中に採算を検知できる
- 顧客ユーザーとしてクライアントをプロジェクトに招き、進捗報告の手間を削減できる
- MS Project、JIRA、Basecampからのインポートに対応
なお、機能によって利用できるプランが異なります。特にクリティカルパスやベースライン、Webhook、工数管理などは上位プランの機能になるため、必要な機能が使えるかどうかは必ず評価版で確認してください。
AndSoでは、Zoho Projectsの導入設計から、CRMやBooksと組み合わせた案件管理・原価管理の仕組み作り、カスタム機能やWebhookを使った外部連携までを承っています。「案件ごとの採算が感覚でしかわからない」という段階からご相談ください。