Zoho Marketing Automationとは?メール配信ツールとの違いと、できることを解説

MAツールは、導入しても使われないまま終わる代表格です。
理由の多くは、導入前に「何を自動化したいのか」が決まっていないことにあります。ツールを入れれば見込み客が育つわけではなく、育てる流れを設計する人が必要です。設計がないままだと、結局はメールを一斉配信するだけの高価なツールになります。
もうひとつよくあるのが、メール配信ツールとの違いが分からないまま比較検討に入るケースです。Zohoの場合、Zoho CampaignsとZoho Marketing Automationのどちらを選ぶべきか、という形でこの問題が出てきます。
この記事では、Zoho Marketing Automationで実際にできることを機能ベースで解説し、あわせてCampaignsとの違いも整理します。
※機能は変更されることがあります。本記事は2026年9月時点の公式サイトの情報をもとにしています。
Zoho Marketing Automationとは

Zoho Marketing Automationは、ゾーホーが提供するMA(マーケティングオートメーション)ツールです。旧称はZoho MarketingHubです。
公式サイトでは、繰り返しのタスクを自動化するだけのものではなく、質の高い見込み客にリーチし、マーケティングと営業のギャップを埋めるためのツール、という位置づけがされています。
扱う範囲は、見込み客の獲得、Web上での行動追跡、スコアリング、育成シナリオの実行、マルチチャネルでの配信、そしてROIの測定までです。
Zoho Campaignsとの違い
先に整理しておきます。両方ともメールを送れるため混同されがちですが、設計思想が違います。
| Zoho Campaigns | Zoho Marketing Automation | |
|---|---|---|
| 中心 | メールの配信 | 見込み客の行動 |
| 起点になるデータ | リストとセグメント | Webサイト上での行動、スコア |
| 主な自動化 | ステップメール | 複数チャネルにまたがるジャーニー |
| チャネル | メール中心 | メール、SMS、SNS |
| 見込み客の評価 | — | スコアリング、リードステージ |
| 効果測定 | 配信結果 | 施策のROIと予算 |
判断の目安はこうなります。
Campaignsが向いているケース
- メルマガとステップメールを確実に回したい
- リストは自社で持っており、配信と効果測定ができれば十分
- まずは小さく始めたい
Marketing Automationが向いているケース
- Webサイト上での行動を見て、確度の高い見込み客を選別したい
- 営業に渡すリードの基準を仕組みとして持ちたい
- メール以外のチャネルも組み合わせたい
- マーケティング施策のROIを管理したい
メールを送ることが目的ならCampaigns、見込み客を選別して営業に渡すことが目的ならMarketing Automation、という切り分けが実務的です。
見込み客を集める
登録フォームとランディングページ
Webサイト、ブログ、イベントなど、見込み客が発生する場所にフォームを設置できます。ランディングページの作成にも対応しています。
スマートポップアップ
どのアクションでポップアップを表示するか を指定できます。滞在時間、スクロール量、離脱の兆候といった条件に応じて出し分けられるため、開いた瞬間に全員へ表示するような雑な使い方をしなくて済みます。
イベント参加者のデータ収集
Webセミナーや予定を管理しながら、その場で使うフォームで参加者データを収集できます。名刺を回収してから後日入力する、という工程が省けます。
タッチポイント
訪問者の多いURLや、最も見込み客を獲得しているメディアが分かります。獲得の入り口が可視化されるため、どこに予算を寄せるべきかの判断ができます。
Web上での行動を追跡する
ここがメール配信ツールとの決定的な差です。
Webサイトの追跡
見込み客が訪問したページとクリックしたリンクを記録します。誰が、いつ、何に興味を示したかが個人単位で追えます。
Webサイトの目標
訪問者の目標を定義し、達成状況に応じてグループ分けできます。「料金ページを見た人」「導入事例を3本以上読んだ人」といった単位で扱えるようになります。
アプリ内追跡
自社プロダクトがある場合、ユーザーが製品内でどの機能に触れているかを把握できます。SaaSを提供している会社なら、オンボーディングの改善に直結します。
購入の中断(カート放棄)
購入手続きが途中で止まった顧客に、リマインドのメールを送れます。
スコアリングとリードステージ
集めた行動データを、営業に渡す判断材料へ変換する部分です。
スコアリング
Webサイトの閲覧数、クリック数、転送数、フォローアップなどの行動に基づいてスコアを付けられます。行動だけでなく属性でも設定でき、たとえば役職が「CEO」の見込み客にスコアを加算する、といった条件も組めます。
タグ付け
関心や活動に応じてタグを付け、個別にターゲティングできます。
リードステージ
見込み客を段階として管理できます。公式サイトでは、新規見込み客、マーケティング対象、マーケティングつながり、マーケティング認定済み、営業対象という段階が挙げられています。
この仕組みの価値は、営業に渡す基準を人の感覚から仕組みに移せる ことにあります。「なんとなく良さそうなリード」ではなく「スコアが一定を超え、料金ページを見た人」という定義になれば、マーケティングと営業の間の不毛な議論が減ります。
ジャーニーでシナリオを組む
Marketing Automationの中核機能です。
ドラッグ&ドロップのエディター
育成のフローを図として組み立てられます。事前設計済みのテンプレートから始めることも、ゼロから設計することもできます。
トリガーと除外の設定
メールの送信タイミングだけでなく、見込み客をプログラムから削除するタイミング も設定できます。たとえば登録フォームの送信をトリガーに開始し、商談化した時点でジャーニーから除外する、という制御です。
この除外設定が地味に重要です。すでに商談が始まっている相手に「資料請求ありがとうございます」の続きが届き続けるのは、機会損失どころか信頼を損ないます。
ジャーニーごとのレポート
見込み客がどのステップを通過したかを最初から最後まで追跡でき、詳細なレポートで確認できます。「3通目で大半が離脱している」ことが分かれば、そのステップだけを作り直せます。
マルチチャネルで届ける
- メール:トリガーに応じた自動送信、行動に基づくパーソナライズ
- SMS:TwilioやClickatellと連携して送信し、送信済み・配信済み・開封済みを確認できる
- SNS:Facebook、X、LinkedInへの投稿とパフォーマンス分析
- 自動返信:ウェルカムメッセージ、誕生日、オンボーディングの案内などを自動化
メールを開かない相手にSMSで届ける、といったチャネルの切り替えを同じ流れの中で扱えるのが利点です。
マーケティングプランナーでROIを見る
すべてのマーケティング活動を1か所で設計・管理し、予算の割り当てとROIの追跡ができます。
MAツールでこの機能を持つものは多くありません。施策ごとに「いくら使って、どれだけの見込み客と商談が生まれたか」を紐づけられるため、次年度の予算配分の根拠が作れます。
属性レポートを使えば、顧客になる可能性の高い見込み客を生んだのはどのチャネルか も確認できます。獲得数だけを見ると広告が優秀に見えるのに、質で見るとセミナー経由が圧倒的、といった逆転はよく起きます。
同意の管理
GDPR対応として、メール送信前の同意取得と、その活動に関するレポートが用意されています。
同意を得た相手にのみ送ることは、法令対応であると同時に到達率の向上にも繋がります。反応のない宛先へ送り続けることは、送信ドメインの評価を下げる要因になるためです。
他サービスとの連携
Zoho CRM、Zoho Creator、Zoho Contactsなどと連携できます。ECサイトとの連携により、購入の促進、カート放棄への対応、購入後のフォローアップも扱えます。
Zoho CRMとの連携が中心になります。マーケティング側で育てた見込み客を、スコアやステージの情報を持たせたまま営業へ引き渡せるからです。営業は「この人は先週、料金ページを3回見ている」という状態で連絡できます。
導入時に押さえておきたいこと
Webサイト側の準備が前提になる
行動追跡が機能の中心である以上、自社サイトにトラッキングの仕組みを入れることが出発点です。サイトの構造が整理されていないと、そもそも意味のある行動データが取れません。MAの導入は、Webサイトの見直しとセットで考えるべき案件になりがちです。
最初のジャーニーは単純に組む
分岐が複雑になるほど、設計と検証に時間がかかります。最初は「資料請求 → お礼 → 事例紹介 → 個別相談の案内」程度の直線的な流れから始めて、レポートを見ながら分岐を足していくほうが、確実に運用に乗ります。
CRMとの役割分担を先に決める
どこまでをMAが持ち、どこからをCRMが持つのか。見込み客が営業に渡るタイミングをどう定義するのか。ここが曖昧なままだと、同じ相手に両方から連絡が飛ぶような事故が起きます。
まとめ
- Campaignsは「メールを送る」、Marketing Automationは「見込み客を選別して営業に渡す」ためのツール
- Webサイト上での行動を個人単位で追跡し、スコアリングとリードステージで評価できる
- ジャーニーはドラッグ&ドロップで設計でき、除外条件とステップごとのレポートを備える
- メール、SMS、SNSを同じ流れの中で組み合わせられる
- マーケティングプランナーで予算とROIを管理でき、質の高いリードを生んだチャネルが分かる
- 行動追跡が前提のため、Webサイト側の整備とセットで考える必要がある
なお、機能によって利用できるプランが異なります。必要な機能が使えるかどうかは評価版で確認してください。
AndSoでは、Web制作とあわせてZoho Marketing Automationの導入設計、CRMとの役割分担の整理、ジャーニー設計と実装までを承っています。「MAを入れたいが、何から手を付ければいいか分からない」という段階からご相談ください。