Zoho PageSenseとは?「なぜ離脱したか」を可視化してテストまで回すツールの機能を解説

アクセス解析を見て、こう思ったことはないでしょうか。
「先月より訪問者は増えているのに、問い合わせは減っている」「フォームまでは来ているのに送信されない」「このページの直帰率が高いのはわかったが、理由がわからない」。
一般的なアクセス解析ツールは、何人が来て、どのページを見て、どこで去ったかを教えてくれます。しかし なぜ去ったのか は教えてくれません。そこを埋めるには、訪問者の実際の動きを見るか、仮説を立てて試すしかありません。
Zoho PageSenseは、その両方を1つで扱えるWebサイト最適化ツールです。この記事では、実際にどんなことができるのかを機能ベースで解説します。
※機能は変更されることがあります。本記事は2026年9月時点の公式サイトの情報をもとにしています。
Zoho PageSenseとは

Zoho PageSenseは、Zohoが提供するWeb解析・最適化ツールです。公式サイトでは10以上の最適化ツールを備えるとされており、訪問者の追跡、行動の分析、A/Bテスト、パーソナライゼーションまでを1つのサービスでカバーします。
導入は、発行されるコードスニペットをサイトの<head>に設置するだけです。既存のサイトを作り替える必要はありません。
何が起きているかを追跡する
Web分析
サイト全体の指標を取得し、訪問者の流入経路、目標の達成、コンバージョンを生んでいるページを把握できます。
目標
フォームの送信、CTAのクリック、資料のダウンロード、セミナーの申し込みといったコンバージョンを目標として設定し、記録できます。期間、国、端末、訪問者セグメントごとに数字を出せるため、「スマートフォンからの申し込みだけ極端に少ない」といった偏りが見えます。
ファネル分析
複数ステップの導線について、どの段階で離脱しているかを特定します。訪問者のジャーニーをマップ化し、離脱地点をグラフで可視化します。
「商品ページ → カート → 入力 → 完了」のような流れで、どこが最も漏れているかがわかれば、改修の優先順位は自動的に決まります。感覚で「トップページのデザインを変えよう」と判断するより、はるかに費用対効果が高くなります。
モバイル分析
モバイルアプリ内の行動も追跡でき、インストール、アプリ内購入、エンゲージメント、継続率のデータを収集できます。
なぜ離脱したかを分析する
ここがPageSenseの中心です。
ヒートマップ
クリック、スクロール、エンゲージメントを視覚的なレポートとしてリアルタイムに確認できます。よく見られているセクション、逆に気を散らしている要素、共感を得ているコンテンツが判別できます。
制作側の想定と実際の閲覧行動は、驚くほどずれます。「重要だから」と上部に置いた要素が全く見られておらず、下部の何気ない一文が最もクリックされている、ということが普通に起きます。
セッション記録
訪問者の操作をそのまま記録し、再生して確認できます。どこで迷い、何を探し、どのページを行き来したかが、そのまま見えます。
数字では「離脱率が高い」としか出てこない現象も、記録を10本も見れば原因が特定できることが多いです。ボタンだと思われていない要素をクリックしようとしている、スマートフォンで文字が読みにくくて拡大している、といった具体的な問題が見つかります。
フォーム分析
これはWeb制作の実務で非常に有効な機能です。フォーム全体だけでなく 項目レベル の指標を取得できます。
- 訪問者が入力をためらった項目
- 「送信」をクリックするまでにかかった合計時間
- フォームの操作数と離脱数
「電話番号の欄で手が止まって離脱している」ことがわかれば、その項目を任意にする、あるいは削除する、という具体的な改善に直結します。問い合わせ数を増やしたい案件で、最初に見るべきデータです。
仮説を検証する
A/BテストとスプリットURLテスト
ページのレイアウト、要素、コンテンツを並べて比較し、どのバリエーションがコンバージョンに繋がるかを検証できます。ページ全体を別URLで比較するスプリットURLテストにも対応しています。
テスト時に押さえておきたい機能がいくつかあります。
- 収益目標の設定:クリック数やページビューだけでなく、サイトの収益そのものを比較指標にできる
- オーディエンスの絞り込み:事前定義のセグメント、またはカスタムセグメントを対象にテストできる
- テストごとのヒートマップ:各バージョンで訪問者がどう動いたかを確認できる
- レポートのフィルタリング:特定の層に絞って結果を見られる
勝敗の数字だけでなく「なぜそのバージョンが勝ったのか」を、ヒートマップと併せて確認できるのが利点です。理由がわかれば、次のテストの仮説が立てられます。
パーソナライゼーション
訪問者の関心、閲覧パターン、地理的条件などでセグメントを分け、それぞれに合わせた表示を出し分けられます。全員に同じページを見せる必要はない、という発想です。
訪問者に働きかける
ポップアップ
購読、資料請求、キャンペーン告知などのポップアップを作成・カスタマイズできます。
投票
サイト上で直接フィードバックを集められます。「探していた情報は見つかりましたか」といった短い質問を出すだけでも、改善のヒントが得られます。
プッシュ通知
訪問者がサイトを見ていないときでもメッセージを送信できます。再訪を促す手段として使えます。
見落とされがちな設定まわりの機能
ここからは少しニッチですが、実際に運用すると効いてくる機能です。
IPフィルタリング
特定のIPアドレスや範囲を追跡対象から除外できます。社内からのアクセスやテスト環境を除外する ための機能です。
これを設定しないと、制作会社や自社の担当者が確認のために何度も開いたアクセスがデータに混ざります。訪問数の少ないサイトほど、この汚染は無視できません。導入時に最初にやるべき設定です。
相互排他的なグループ
同じ訪問者に対して複数のテストを実行する際、一度に1つのテストにしか参加させないよう制御できます。
複数のA/Bテストを同時に走らせると、訪問者が両方の影響を受けて結果の解釈ができなくなります。この機能は、その干渉を構造的に防ぎます。テストを継続的に回す組織では必須の考え方です。
クロスドメインマッピング
複数ドメインにまたがって訪問者の行動を追跡できます。コーポレートサイトとECサイトでドメインが分かれている場合、これがないと同一人物の動きが分断されます。
ページのグループ化
類似ページをまとめて追跡・分析できます。商品ページが数百ある場合、1ページずつ見るのは現実的ではありません。
スニペットの同期/非同期モード
サイトのパフォーマンス要件に応じて、スニペットの読み込み方式を選べます。一般に、同期読み込みは表示のちらつきを抑えられる一方でページ表示が遅くなり、非同期はその逆になります。A/Bテストを行う場合は、この選択が体感品質に影響します。
プライバシーとセキュリティ
セッション記録は強力な機能ですが、扱うデータの性質上、配慮が必要です。
PageSenseでは、初期設定ですべてのキー操作と入力内容がアスタリスクに置き換えられます。 氏名、クレジットカード情報、パスワード、メールアドレス、住所といった機密情報がマスキングされる仕組みです。加えて、特定の要素や領域を指定して個別にマスキングすることもできます。
そのほか、役割ベースの権限管理、テスト設定に対する操作の監査ログ、GDPR・HIPAA・CCPAへの準拠が挙げられています。
顧客のサイトにこの種のツールを入れる場合、「録画しているのでは」という懸念を持たれることがあります。初期設定でマスキングされる仕様は、説明材料として押さえておく価値があります。
他サービスとの連携

Zoho製品では、Zoho CRM、Zoho Desk、Zoho Commerceとの連携が用意されています。
外部サービスでは、Zapier、Intercom、そして OpenAI との連携が挙げられています。
Zoho CRMとの連携は特に実用的で、サイト上の行動データを顧客レコードと結びつけられます。「問い合わせ前に料金ページを何度も見ていた見込み客」といった文脈を、営業が持った状態で商談に臨めます。
また、Chromeプラグインが提供されており、タブを切り替えずにテストの作成と管理ができます。
使い方の順序
機能が多いので、導入時の順序を整理しておきます。
- スニペットを設置し、IPフィルタリングで社内アクセスを除外する
- 目標を設定して、何をコンバージョンとするか定義する
- ヒートマップとセッション記録を有効にし、実際の行動を観察する
- フォーム分析で入力の詰まりを特定する
- ファネル分析で最も漏れている段階を特定する
- そこに対して仮説を立て、A/Bテストで検証する
いきなりA/Bテストから始めても、テストすべき仮説がないので空振りします。まず観察、次に仮説、最後に検証。この順序が効率的です。
まとめ
- ヒートマップとセッション記録で、数字では見えない離脱の理由を観察できる
- フォーム分析は項目レベルの指標を取得でき、どの入力欄で手が止まったかがわかる
- ファネル分析で離脱段階を特定し、改修の優先順位を決められる
- A/BテストとスプリットURLテストに対応。収益を比較指標にでき、テストごとのヒートマップも取れる
- IPフィルタリングと相互排他的なグループの設定が、データの精度を左右する
- セッション記録は初期設定で入力内容がマスキングされる
- Zoho CRM連携でサイト上の行動を顧客データと結びつけられる
なお、機能によって利用できるプランが異なります。A/BテストやスプリットURLテスト、パーソナライゼーションは上位プランの機能になるため、必要な機能が使えるかどうかは評価版で確認してください。
AndSoでは、Web制作とあわせてZoho PageSenseの導入・設定、計測設計から改善提案までを承っています。「アクセスはあるのに問い合わせに繋がらない」という段階からご相談ください。