【Zoho CRM活用事例】Excel・紙で管理していた自社独自の帳票をデジタル化!商談から帳票発行までつなげた仕組みとは

「自社独自の帳票をExcelで作成し、印刷して現場へ渡している」
「どの案件の依頼なのか、営業担当に確認しないと分からない」
「過去にどんな内容で依頼したのかを探すのに時間がかかる」
製造や加工など、営業部門から工場・作業担当へ指示を出す業務では、Excelや紙の依頼書が使われている企業も少なくありません。
紙は現場で確認しやすい一方で、案件情報との紐付けや履歴管理、進捗状況の共有が難しくなりやすいという課題があります。
今回ご紹介する塗料販売・施工会社でも、営業担当から工場へ出す「調色依頼書」という独自の帳票をExcelで作成し、印刷して共有していました。
そこでZoho CRMを活用し、
商談の明細に必要な情報を入力
↓
調色が必要な明細にチェック
↓
受注後に書類作成を実行
↓
対象となる明細だけを調色依頼書へ反映
↓
CRM上に履歴を残す
という仕組みを構築しました。
今回のポイントは、単に「紙をなくした」ということではありません。
営業が持っている案件情報と、工場で必要となる作業情報を一つの流れにつなげたことにあります。
調色依頼業務で抱えていた課題
調色依頼書をExcelで作成していた
従来、調色が必要になった場合は、営業担当者がExcelを使って調色依頼書を作成していました。
依頼書には、
- 商品に関する情報
- 数量
- 調色に必要な内容
- 納品に関する情報
などを入力し、完成した依頼書を印刷して工場へ共有します。
Excel自体は使い慣れたツールであり、個別の書類を作るには便利です。
一方で、案件数が増えてくると、
「商談で確認した内容をExcelへもう一度入力する」
という転記作業が発生します。
営業活動で一度入力・確認した情報を、調色依頼のために再度入力する必要がありました。
商談情報と調色依頼が分かれていた
もう一つの課題は、営業側の案件情報と調色依頼書が別々に管理されていたことです。
営業担当は、
「どのお客様の、どの案件なのか」
を把握しています。
しかし工場側から見ると、手元にあるのは印刷された調色依頼書です。
逆に、営業担当が過去の商談を確認したときも、
「この案件ではどのような調色依頼を出したのか」
を確認するには、別途Excelファイルや紙の書類を探す必要があります。
このように、
顧客・商談の情報
と
実際の作業依頼の情報
が分かれていることで、確認作業が発生していました。
調色が必要な明細を人が判断して転記していた
一つの商談に複数の商品が含まれていても、すべての商品に調色が必要とは限りません。
例えば5つの明細があるうち、
- 2つは調色が必要
- 3つは調色不要
というケースもあります。
従来は、営業担当者が商談や見積内容を確認し、
「この商品は調色が必要」
と判断したうえで、必要な商品だけを調色依頼書へ転記していました。
商品の数が少ないうちは大きな負担ではありません。
しかし案件数や明細数が増えてくると、
- 調色が必要な商品の転記漏れ
- 不要な商品の記載
- 数量の入力ミス
などが発生する可能性も高まります。
そこで今回のCRM構築では、調色が必要かどうかの情報も商談の明細で管理することにしました。
Zoho CRMで調色依頼の流れを再設計
今回の仕組みでは、調色依頼だけを独立してデジタル化するのではなく、商談から受注後の業務までを一つの流れとして設計しました。
基本的な流れは次のとおりです。
商談を登録
↓
商談の明細を入力
↓
調色が必要な明細に「調色依頼書作成」のチェック
↓
見積書を作成
↓
受注
↓
受注書類作成を実行
↓
チェックされた明細を判定
↓
必要な内容を調色依頼書へ反映
という流れです。
担当者は調色依頼書を作成するときに、商談内容を確認しながらExcelへ再入力する必要がありません。
商談の段階で「この明細には調色が必要」という情報を登録しておくことで、その情報を受注後の業務でも活用できるようにしています。
実際に構築した4つの仕組み
① 商談明細に「調色依頼書作成」のチェック項目を設置
まず、商談の明細ごとに「調色依頼書作成」というチェック項目を設けました。
営業担当者は、調色が必要な明細についてチェックを入れます。
例えば、
商品A:調色が必要 → チェック
商品B:調色不要 → チェックなし
商品C:調色が必要 → チェック
という形です。
これによって、「どの商品に調色作業が必要なのか」という情報そのものを、案件情報の一部としてCRMに持たせることができます。
② チェックされた明細だけを調色依頼書へ反映
受注後に書類作成を実行すると、Zoho CRMが商談明細のチェック内容を判定します。
そして、「調色依頼書作成」にチェックが入っている明細だけを対象として、調色依頼書を作成します。
例えば、一つの商談に5つの明細があり、そのうち2つにだけチェックが入っていれば、その2つを調色依頼の対象として扱います。
これまでのように、担当者が商談内容を見ながら、
「これは調色依頼書へ入れる」
「これは入れない」
と改めて選び直し、転記する必要がありません。
営業段階で登録した判断を、そのまま次の業務へ引き継げることがポイントです。
③ 商談に入力した情報を依頼書へ引き継ぐ
調色依頼書を作成するときも、必要な情報を一から入力するのではありません。
商談やその明細に登録されている情報を利用して、調色依頼に必要となる内容へつなげます。
これにより、
商談で入力
↓
Excelの調色依頼書へ再入力
という二重入力を減らすことができます。
CRMを導入する目的は、紙を画面に置き換えることではありません。
一度入力した情報を次の業務でも使えるようにすることで、初めて業務効率化につながります。
④ 調色依頼書を商談と紐付けて履歴管理
作成した調色依頼書は、元となった商談と関連付けて管理します。
これによって商談を確認すれば、
「この案件で調色依頼が発生していたのか」
「どの内容で依頼していたのか」
といった情報を追いやすくなります。
従来のように、
Excelの保存場所を探す
↓
ファイル名から該当案件を探す
↓
紙の依頼書を確認する
という作業を減らし、案件を起点に必要な情報へアクセスできる状態を目指しました。
「調色依頼書だけをデジタル化」しなかった理由
今回のCRM構築で重要なのは、調色依頼書そのものをデジタル化したことではありません。
仮にExcelを別のクラウドツールへ置き換えただけで、
商談に商品情報を入力
↓
調色依頼システムにも同じ内容を入力
という状態になれば、入力先が変わっただけで二重入力は残ります。
そこで今回重視したのが、
「この情報はどこで最初に発生するのか」
という考え方です。
商品名や数量、案件の情報は、営業活動・商談の段階ですでに発生しています。
であれば、調色依頼の段階でもその情報を再利用した方が効率的です。
そのため、
商談を起点に情報を入力し、必要なものを後工程へ引き継ぐ
という設計にしています。
営業と工場をCRMでつなぐ
CRMというと、
「顧客管理」
「営業管理」
のためのツールというイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、今回のように設計することで、営業部門だけではなく、その後の社内業務にも情報をつなげられます。
例えば今回の場合、
営業
商談内容を入力する
↓
CRM
調色が必要な明細を管理する
↓
工場
調色依頼の内容を確認する
という流れになります。
営業と工場が別々に情報を持つのではなく、同じ案件情報を起点に業務を進められることがメリットです。
特に、
- 営業
- 事務
- 製造
- 加工
- 配送
など複数の担当者・部署が一つの案件に関わる企業ほど、こうした情報連携は重要になります。
CRM導入前と導入後で調色依頼はどう変わる?
導入前
営業が案件内容を確認
↓
調色が必要な商品を判断
↓
Excelの調色依頼書を開く
↓
商品・数量などを再入力
↓
依頼書を作成
↓
印刷
↓
工場へ共有
↓
過去の内容を確認するときはExcelや紙を探す
という流れでした。
一方、CRM導入後は、
導入後
商談の明細を入力
↓
調色が必要な明細にチェック
↓
受注後に書類作成を実行
↓
CRMがチェックされた明細を判定
↓
対象となる内容から調色依頼書を作成
↓
商談と紐付けて履歴管理
という流れになります。
ポイントは、調色依頼書を作る作業だけを短縮したのではなく、
「商談で発生した情報を、そのまま工場側の業務までつなげたこと」
です。
自社独自の帳票をCRM化することで期待できる5つのメリット
1. Excelへの転記作業を減らせる
商談ですでに入力している内容をそれ以外の帳票にも転記させることで、同じ情報を何度も入力する作業を減らせます。
2. 商談と依頼内容を紐付けられる
顧客・案件情報とそれ以降の帳票がつながることで、後から履歴を確認しやすくなります。
問い合わせがあった場合にも、商談を起点に関連情報を追えるようになります。
3. 営業と工場の情報共有をしやすくできる
営業だけが持っていた情報と、工場側で必要となる情報を一つの流れにつなげることで、部署間の確認作業を減らせます。
4. 業務を標準化できる
「調色依頼があれば担当者がExcelを作る」という属人的な運用から、
商談に登録 → チェック → 書類作成
という共通の業務フローへ変えられます。
担当者が変わっても、同じ流れで処理しやすくなります。
CRMは「営業管理」の先まで設計できる
今回の事例から分かるのは、CRMは必ずしも営業部門だけで完結するシステムではないということです。
顧客から案件を受け、
営業が商談を進め、
受注後に社内へ仕事を引き継ぐ。
この一連の業務の中では、同じ情報がさまざまな場面で使われています。
ところが、
営業はCRM
事務はExcel
工場は紙
配送はカレンダー
というようにツールが分かれていると、情報をつなぐために人が転記・連絡しなければなりません。
CRM導入を検討するときには、単に、
「顧客情報をどう管理するか」
だけではなく、
「顧客から受けた仕事が、社内でどのように流れていくのか」
まで整理してみることが重要です。
営業後の受発注や製造・加工、納品まで含めて業務フローを設計することで、CRMを会社全体の業務基盤として活用できる可能性があります。
自社独自の業務こそCRM設計のポイントになる
今回の「調色依頼」は、すべての会社に存在する業務ではありません。
しかし、どの会社にも、
- 自社独自の依頼書
- Excelで管理している業務
- 紙で回している作業指示書
- 営業から現場への引継ぎ
- 特定の担当者しか分からない処理
などがあるのではないでしょうか。
CRM導入というと、顧客管理・商談管理などの一般的な機能から考えがちです。
しかし、本当に業務効率化につながるのは、こうした**「自社独自の業務を、顧客・商談情報とどうつなげるか」**を考えたときです。
Zoho CRMでは、カスタム項目やサブフォーム、カスタムモジュール、ボタン、ワークフロー、カスタム関数などを活用することで、自社の業務に合わせた仕組みを構築できます。
大切なのは、機能から考えるのではなく、
現在の業務を整理する
↓
情報が重複している場所を見つける
↓
人が判断している箇所を整理する
↓
CRMでつなげられる部分を設計する
という順番で考えることです。
まとめ
今回の事例では、Excelと紙で行っていた調色依頼業務をZoho CRMとつなぎ、
商談の明細を入力
↓
調色が必要な明細にチェック
↓
受注後に書類作成
↓
必要な明細だけを調色依頼書へ反映
↓
商談と紐付けて履歴管理
という仕組みを構築しました。
重要なのは、単なるペーパーレス化ではありません。
営業が商談の段階ですでに持っている情報を、その後の工場業務でも活用できるようにすることで、転記・確認・引継ぎにかかる作業を減らしています。
CRMは、顧客情報を保管するだけのシステムではありません。
「一度入力した情報を、会社の中でどう流していくか」まで設計することで、営業から現場までをつなぐ業務基盤にすることができます。
現在、
- Excelで依頼書を作成している
- 紙で作業指示を出している
- 営業と現場の情報共有に手間がかかっている
- 同じ内容を複数のシステムや書類へ入力している
- 自社独自の業務をCRMで管理できるのか分からない
といった課題がある場合は、まず現在の業務の中で「同じ情報を何回入力しているか」を整理してみてはいかがでしょうか。
そこに、CRMによる業務改善のヒントが見つかるかもしれません。