Zoho CRMのレポート機能でできること・使い方まとめ

2026年08月17日

Zoho CRMには標準で「レポート」機能が備わっています。ビュー(リストビュー)と混同されがちですが、複数タブをまたいだ集計や、定期的な自動メール送信までこなせる、かなり実用的な機能です。

この記事では、Zoho CRMのレポート機能でできることを整理したうえで、実際の作成手順、押さえておきたい上限値、プランごとの違いまでまとめます。


そもそもレポートとは(ビューとの違い)

Zoho CRMのレポートは、各タブに蓄積されたデータを抽出・グループ化・集計して一覧表示する機能です。作成したレポートは組織内の他のユーザーと共有できます。

ビューとの一番大きな違いは、複数タブのデータを組み合わせられる点です。ビューは単一タブの絞り込み表示ですが、レポートは「取引先+商談+見積書」のように、関連付けられたタブを横断して1つの表にまとめられます。加えて、小計・総計などの集計行を出せるのもレポート側の役割です。

ざっくりした使い分けとしては、毎日開いて操作する一覧はビュー、集計して定期的に確認・共有するものはレポート、と考えると迷いにくくなります。


Zoho CRMのレポート機能でできること

40種類以上の標準レポートをそのまま使える

Zoho CRMには、タブごとの標準レポートが40種類以上あらかじめ用意されています([価格表]タブのみ標準レポートがありません)。設定不要ですぐ使えるうえ、ベースにしてカスタマイズもできます。

主なものを挙げると以下のとおりです。

カテゴリ標準レポートの例
取引先・連絡先連絡先のメールアドレスの一覧、主な取引先、業界別の取引先
商談ステージ別の進捗状況、今月完了予定の商談、担当者別の商談、失注した商談、未完了の商談、ステージ別の商談の総額
見込み客データ元別の見込み客、ステータス別の見込み客、担当者別の見込み客、業界別の見込み客
活動タスクと予定のレポート、今日の通話、通話ステータスのレポート
キャンペーンキャンペーンから獲得した商談/見込み客
問い合わせ・ソリューションステータス別の問い合わせ、優先度別の問い合わせ、コメントの多いソリューション
売上予測四半期の売上予測の概要、売上予測の履歴
各種書類取引先別の見積書、ステータス別の受注書、仕入先別の発注額の合計、ステータス別の請求書
売上指標担当者別の見込み客の変換、データ元別の見込み客の変換、担当者別の商談の期間
テリトリーテリトリー別の売上、テリトリー別の商談の進捗状況、テリトリー別の目標達成状況 ※テリトリー管理を有効にしている場合のみ

なお、標準レポートをカスタマイズすると初期設定の状態には戻せません。元の状態を残したい場合は、複製してから編集するのが安全です。

複数タブを横断したレポートを作れる

レポートは「基準タブ」を1つ選び、そこに「関連タブ」を足していく構造になっています。

  • 基準タブ:分析の主対象となるタブ。ここのデータが行の単位になります
  • 親タブ:基準タブのルックアップ項目で参照しているタブ。1レポートあたり最大5件まで追加可能
  • 子タブ:基準タブの関連リストに表示されているタブ
  • 孫タブ以降:子タブの関連リストからさらに階層をたどって追加可能

たとえば[商談]を基準タブにすると、親タブとして[取引先][連絡先][ユーザー(担当者)][キャンペーン]などを、子タブとして[見積書][活動]などを追加できます。

子タブを追加するときは、絞り込みの範囲を2種類から選べます。

  • 関連データのみ:子タブのデータが紐づいている基準タブのデータだけを表示(例:商談がある取引先だけ)
  • すべて:紐づきの有無にかかわらず、基準タブの全データを表示

「商談ゼロの取引先も出したいのか、出したくないのか」がここで決まるので、意図した件数にならないときはまずこの設定を疑ってください。

3つの表示形式

レポートの表示形式は3種類です。

形式内容向いている用途
表形式レポート小計なしのフラットな一覧メールアドレス一覧、パイプラインの素データ、エクスポート前提の抽出
要約レポートグループごとの小計・概要付き担当者別の商談件数と金額、部門別の集計
マトリクスレポート行と列の両方でグループ化したグリッド表示担当者×ステージ、月×データ元のクロス集計

現在のUIでは、行グループのみ設定すれば要約レポート、行グループと列グループの両方を設定するとマトリクスレポートの形で表示されます。Excelのピボットテーブルに近い感覚です。

列・フィルター・グループ化・集計のカスタマイズ

作成後の画面左側で、次の設定を調整できます。

列(表示項目) チェックボックスで追加・削除、ドラッグ&ドロップで並べ替え、見出し枠のドラッグで幅の変更ができます。

フィルター(抽出条件) 日付項目ベースの条件、任意の項目ベースの条件を設定できます。値の右辺に「別の項目」を指定できるのが便利で、たとえば「調整額 >= 割引額」のような項目同士の比較条件が組めます。ただし右辺に項目を指定できるのは、日付・日時/チェックボックス/数値・小数・パーセント・長整数/通貨のみです。選択リストやルックアップは右辺に指定できません。

かんたん表示フィルター レポートを見ながらその場で条件を切り替えられるフィルターです。日付、日時、チェックボックス、ユーザールックアップ、選択リスト、複数選択リストに対応しています。通常のフィルターと併用できるので、「共有相手に見せる範囲は通常フィルターで固定し、閲覧者が切り替える軸はかんたん表示フィルターに逃がす」という設計がきれいです。

グループ化 行グループ・列グループを設定して、業種別・月別などにデータを分類します。

集計 グループに対して、合計・平均・最大・最小・件数を算出できます。[詳細を表示する]から、明細行/小計/総計の表示切り替えも可能です。

グラフ化とダッシュボードへの追加

レポート画面の[グラフを作成する]から、集計対象(Y軸)とグループ化項目(X軸)を選んでグラフを作成できます。棒グラフ、円グラフ、ファネルなど複数の種類が選べ、Y軸の基準線やX軸の表示上限も設定できます。

作成したグラフは[ダッシュボードに追加する]でダッシュボードに載せられます。追加後は独立したコンポーネントになるため、レポート側でグラフを編集・削除してもダッシュボード上のグラフには影響しません。ここは想像と逆の挙動なので注意してください。

レポートの結合

複数のレポートを1つにまとめて並べて比較できます。結合できるのは同じ基準タブから作成したレポートのみで、最大3件までです。

たとえば基準タブが[取引先]のレポートを3つ(商談/見積書/請求書)作っておき、それらを結合すると、取引先ごとの各ステータスを一画面で確認できます。基準タブの項目を行グループにすれば、結合したレポート全体を横断してグループ化できます。

エクスポート

Excel/PDF/CSVでダウンロードできます。エクスポートの種類は2つです。

  • 表示形式レポート:画面表示どおりの形式。行や列のグループ化が保持される
  • 一覧レポート(詳細レポート):全行を出力。グループ化は反映されない

行数上限は表示形式レポートが2,000行、一覧レポートが50,000行です。データが2,000行を超えるレポートで表示形式を選ぶと、上位2,000行だけが出力されるので、エクスポート前に必要なデータが上位に来るよう並べ替えておく必要があります。

なお、複数行テキスト項目は、表示形式レポートだと先頭3件が各5,000文字、4件目以降は255文字までしか出力されません。全文が必要な場合は一覧レポート(詳細レポート)を選んでください。

メール送信と定期レポート

作成したレポートは、その場でメール送信することも、日時を指定して予約送信することもできます。組織外のメールアドレスも[追加の受信者]に指定可能です。

さらに強力なのが定期レポートで、毎日/毎週/毎月/毎年の間隔で自動送信できます。送信方法はメールに加えて、Zoho CliqCisco Webex(ユーザー宛て/チャンネル宛て)にも対応しています。日次の営業報告をCliqのチャンネルに自動で流す、といった運用が組めます。

ただし、定期レポートで出力できるデータは最大2,000件です。それ以上必要な場合はレポート画面から手動でエクスポートすることになります。

フォルダーによる管理と共有権限

レポートが増えてくると探すのが大変になるため、フォルダーで整理できます。共有範囲は「自分のみ」「すべてのユーザー」「特定のユーザー」から選択でき、特定のユーザーの場合はユーザー/グループ/役職/役職と部下の単位で指定します。

権限まわりの基本ルールは以下のとおりです。

  • 一般ユーザー:自分のレポートの作成・表示・共有と、共有フォルダー内の他ユーザーのレポートの表示
  • 管理者:自分のレポートに加えて、共有設定に関係なく組織内の全レポートを表示

セキュリティ上の注意点として、レポートを共有すると、項目の表示権限がないユーザーにもレポート内の全項目が見えてしまいます。給与や原価など機微な項目を含むレポートの共有範囲は慎重に設定してください。

削除したレポートは30日間[最近削除したもの]に残り、復元できます。


レポートの作成手順

  1. [レポート]タブをクリックする
  2. [レポートを作成する]をクリックする
  3. 選択リストから基準タブを選び、[続ける]をクリックする
  4. 関連タブを追加する。基準タブ上部の緑色の[+]で親タブ、下部の青色の[+]で子タブを追加
  5. 子タブを追加した場合は、抽出条件として[すべて]または[関連データのみ]を選択する
  6. 必要なタブを追加したら、画面右上の[続ける]をクリックする
  7. 表形式で表示されたレポートに対して、列・フィルター・グループ化・集計を設定する
  8. [実行する]でプレビューを確認し、[保存する]で名前とフォルダーを指定して保存する

保存時に[フォルダーを選択]の最下部にある[+ フォルダーを作成する]から、その場で新規フォルダーを作ることもできます。

定期レポートの設定手順
  1. [レポート]タブ →画面左側のメニューで[定期レポート]をクリックする
  2. 右上の[新しい定期レポート]をクリックする
  3. 対象レポート、ファイル形式(PDF/XLS/CSV)、開始日時、繰り返し間隔、終了タイミングを設定する
  4. 送信方法(メール/Zoho Cliq/Cisco Webex)を選ぶ ※連携済みのものだけが表示されます
  5. 受信者を指定する(メールの場合はユーザー/グループ/役職/役職と部下/テリトリーから選択、または任意アドレスを直接入力)
  6. [予約する]をクリックする

実践例:3つのレポート設計パターン

例1:今四半期に作成した取引先と、その商談をすべて見たい 基準タブ[取引先]+子タブ[商談]で、抽出条件は[すべて]。商談が紐づいていない取引先も表示されるため、「登録したが動いていない取引先」の洗い出しにも使えます。

例2:直近の取引先について、商談のステータスだけを会議で報告したい 基準タブ[取引先]+子タブ[商談]で、抽出条件は[関連データのみ]。商談のない取引先は除外され、報告用として見やすくなります。

例3:先月商談が発生した取引先の、活動履歴まで含めた月次レポート 基準タブ[取引先]+子タブ[商談](関連データのみ)+孫タブ[活動](すべて)。活動が記録されていない商談も表示されるため、「動きが止まっている商談」が浮かび上がります。


押さえておきたい上限値

項目上限
親タブの追加数5件/レポート
フィルター条件4件/レポート
かんたん表示フィルター5件/レポート
結合できるレポート数3件(同じ基準タブのもののみ)
複数行テキスト項目の追加数10件
複数行テキストの画面表示255文字(超過分はカーソルを合わせると表示)
エクスポート行数(表示形式レポート)2,000行
エクスポート行数(一覧レポート)50,000行
定期レポートのデータ件数2,000件
削除レポートの復元期間30日

1日あたりのエクスポート回数は、表示形式レポートが無制限、一覧レポートが無料プラン0回・アルティメットプラン300回・それ以外のプラン200回です。


プランごとの違い

2026年7月7日時点のプラン別機能一覧では、レポート関連は以下のようになっています。

機能無料スタンダードプロフェッショナルエンタープライズアルティメット
標準レポート
カスタムレポート×100無制限無制限無制限
定期レポート×最大100最大100最大100最大200
カスタムダッシュボード×無制限無制限無制限無制限

つまり、自分でレポートを作りたいなら最低でもスタンダードプランが必要です。スタンダードのカスタムレポート100件という上限は、部門ごとに作り込んでいくと意外と早く到達するので、本格運用ならプロフェッショナル以上が現実的です。

なお、価格や機能一覧のページは米国データセンター版の翻訳がベースになっており、日本データセンターの環境とは表記が一部異なる可能性があるとZoho側も注記しています。契約前には評価版で実機確認するのが確実です。


つまずきやすいポイントと運用のコツ

件数が想定と合わないときは、まず子タブの抽出条件を確認する [すべて]と[関連データのみ]の違いで、行数は大きく変わります。関連データのみを選ぶと、結合先がないデータが黙って消えるため、集計値のズレの原因になりがちです。

フィルターは4件までなので、条件設計は先に固める 複雑な絞り込みが必要な場合は、フィルターを増やすのではなく、基準タブの選び方やかんたん表示フィルターへの分割を検討してください。

共有前に項目の中身を確認する 前述のとおり、項目単位の権限がレポート上では効きません。共有フォルダーに入れる前に、機微な項目が列に含まれていないかチェックする運用にしておくと安全です。

エクスポート前提なら並べ替えを先に 表示形式レポートは2,000行で切られます。件数が多い場合は、フィルターで期間を区切るか、一覧レポートを選ぶかを事前に決めておきましょう。

ダッシュボードのグラフは独立している レポート側で直しても反映されません。ダッシュボードを更新したいときは、ダッシュボード側で編集する必要があります。

レポートで足りなければZoho Analyticsへ CRMのレポートは集計関数が合計・平均・最大・最小・件数に限られ、自由な計算式の列は作れません。複数サービスのデータ統合や、より複雑な指標計算が必要になった段階で、全プランで利用可能なZoho Analytics連携を検討するのが現実的な線引きです。


まとめ

Zoho CRMのレポート機能は、以下の点で「まず標準機能で試す価値がある」レベルに達しています。

  • 40種類以上の標準レポートで、すぐに分析を開始できる
  • 親タブ・子タブ・孫タブをたどって、複数タブ横断の集計ができる
  • 表形式・要約・マトリクスの3形式と、グループ化・集計で大抵の集計要件は満たせる
  • 定期レポートで、メールやZoho Cliqへの自動配信まで完結する

一方で、フィルター4件、エクスポート2,000行(表示形式)、定期レポート2,000件といった上限があるため、設計段階でこれらを意識しておくと後戻りが減ります。まずは標準レポートを複製して、自社の項目に合わせて手を入れるところから始めるのがおすすめです。


参考リンク

Zoho CRMのレポート機能でできること・使い方まとめ | Zoho CRMを活用した中小企業へのDX支援は【And So株式会社】。全ての企業にDXを!