Zoho Peopleとは?勤怠・休暇・評価まで扱えるHRMSの機能と、日本で使う際の注意点

社員が20人を超えたあたりから、人事まわりの管理が急に重くなります。
勤怠はExcelに手入力、有給の申請は口頭やチャット、残日数は担当者が都度計算。入社時の書類はメールでやり取りして、どこかのフォルダに保存されている。評価シートは毎年テンプレートを配って回収する。
どれも単体では大したことがないのに、合わせると人事担当者の時間をかなり奪います。しかも属人化しやすく、担当者が休むと止まります。
Zoho Peopleは、この領域をまとめて扱うHRMS(人事管理システム)です。この記事では実際にどんなことができるのかを機能ベースで解説し、最後に日本で使う際の重要な注意点にも触れます。
※機能は変更されることがあります。本記事は2026年9月時点の公式サイトの情報をもとにしています。
Zoho Peopleとは

Zoho Peopleは、ゾーホーが提供する人事管理システムです。従業員情報の一元管理を土台に、勤怠、シフト、休暇、工数、人事評価、研修までを扱えます。
特徴として公式サイトが挙げているのは、必要な機能を必要な分だけ選んで導入できる という点です。組織の拡大に合わせて使う範囲を広げられるため、成長段階でシステムを乗り換えるコストを抑えられます。
画面の表示言語は日本語・英語を含む24言語に対応しており、海外拠点を持つ企業でも同じ基盤で運用できます。
従業員情報を一元管理する
すべての土台になる部分です。従業員のデータベースとして、記録の保存、部門や拠点や役職といったパラメーターでの分類、権限設定を行えます。
重要なのは 従業員セルフサービス の考え方です。人事が全員分の情報を集めて転記するのではなく、従業員自身が住所変更や連絡先の更新を行います。転記作業と転記ミスの両方がなくなります。表示・編集できる範囲は権限で制御できるため、見せたくない情報は隠せます。
勤怠管理の打刻手段が豊富
Zoho Peopleの勤怠管理は、打刻の方法と制御が細かく用意されています。
- Webとモバイルアプリからの打刻
- IPアドレスによる制限(社内ネットワークからのみ打刻可能にする)
- 位置情報による制限と位置追跡
- 生体認証システムとの連携
- 顔認識による打刻
IP制限と位置情報の組み合わせは、リモートワークと現場作業の両方を抱える組織で効きます。オフィス勤務者は社内ネットワークからのみ、現場スタッフは位置情報付きで打刻、といった運用を分けられます。
顔認識に対応しているのは、なりすまし打刻への対策になります。工場や店舗のように共有端末で打刻する現場では、検討する価値があります。
打刻を忘れた場合も、承認を得たうえで後から修正できる仕組みがあります。
シフト管理
24時間稼働や交代制の組織向けに、シフトを定義・管理・調整できます。
休憩時間の管理に加えて、給与対象の作業と非対象の作業を分類 できる点が実務的です。同じ勤務時間でも、賃金の計算対象になるかどうかが分かれる業務は珍しくありません。
休暇管理を自動化する
人事担当者の手作業が最も溜まりやすい領域です。
休暇ポリシーのカスタマイズ
拠点、役職、部門ごとに異なる休暇タイプを作成できます。振替休日、リフレッシュ休暇、病気休暇など、自社の制度に合わせた設計が可能です。
自動計算
累積有給休暇のルールを設定し、週末や休日を定義しておけば、取得日数と繰越条件をシステムが自動計算します。Excelで残日数を管理する作業がなくなります。
申請と承認
申請から承認までがクラウドで完結します。従業員の残日数と休日を一元的に見られるビューがあるため、マネージャーは要員計画を立てやすくなります。
有給の残日数を人事が電卓で計算している会社であれば、この機能だけで導入の理由になります。
タイムシートで工数を管理する
プロジェクトやタスク単位で作業時間を記録できます。請求対象時間と非対象時間を分けて集計でき、クライアントへの請求にも繋げられます。
Zoho Projectsとの連携により、プロジェクト管理側と人事側で工数データを共有できます。People側では従業員の休暇情報がProjectsに反映されるため、休暇を見落とした割り当てを防げます。
人事ヘルプデスク
この機能を持つHRMSは多くありません。従業員からの質問や苦情を受け付ける専用の窓口を、SLA機能とナレッジベース付きで用意できます。
「有給って何日残ってましたっけ」「この手続きの書類はどこですか」といった問い合わせが人事担当者に個別に飛んでくる状態は、地味に消耗します。ナレッジベースに答えを置いて自己解決してもらい、それでも解決しないものだけをチケットとして受ける形にすれば、負荷が下がります。
Zoho Deskと同じ考え方を、社内向けに適用したものと捉えると分かりやすいです。
ドキュメント管理と電子署名
雇用契約書や誓約書など、署名が必要な書類を扱えます。
- 一元化されたリポジトリーでのファイル保存
- 組み込みテンプレートを使ったドキュメントの生成
- 電子署名の依頼
- 組織内での安全な共有
Zoho Sign、DocuSign、Adobe Signと連携できるため、入社手続きの書類を紙で郵送してやり取りする工程を削減できます。
人事評価と報酬
パフォーマンス管理
目標の設定と追跡、評価の実施、継続的なフィードバックを扱えます。チーム単位、個人のスキル・能力、組織全体のパフォーマンスについてレポートを取得できます。
報酬管理
役割ごとの給与体系を作成し、ボーナスや手当を管理できます。ここでいう報酬管理は「データの管理」であり、給与計算そのものではない点に注意が必要です(後述します)。
LMS(学習管理)
部門、経験、役割に応じた研修コンテンツを配信できます。資格や研修履歴を従業員情報と紐づけて管理できるため、「誰が何のスキルを持っているか」を人材配置の判断材料にできます。
採用とオンボーディング
Zoho Recruitと連携した採用管理と、入社手続きのオンボーディング機能が用意されています。
内定から入社初日までに必要な手続きを流れとして定義しておけば、書類提出、備品の準備、各種アカウント発行といったタスクの抜け漏れを防げます。入社初日の体験がその後の定着に影響する、という考え方に基づいた機能です。
従業員エンゲージメントの測定
eNPS(従業員推奨度)とエンゲージメント調査の機能があります。
施策を打つ前と後で数値を比較できるため、「なんとなく雰囲気が良くなった気がする」ではなく、変化を数字で確認できます。
自動化とカスタマイズ
ここからは開発寄りの話です。
ワークフローによる自動化
項目の自動更新、メール通知、Webhookの呼び出しを、条件をトリガーにして実行できます。承認申請、書類の提出期限、評価期限といった通知を自動化でき、対応漏れを防げます。
カスタムフォームとカスタムアプリケーション
自社の運用に合わせてWebフォームを作成し、入力項目の追加やアクセス権限の設定ができます。さらにカスタムアプリケーションの作成にも対応しており、標準機能でカバーできない業務を自社仕様で組めます。
日本の人事労務は会社ごとの慣行が強く残る領域なので、この柔軟性は実務上の生命線になります。
API連携
APIが公開されているため、既存の基幹システムや給与ソフトとのデータ連携を実装できます。後述する日本固有の事情を踏まえると、この点は重要です。
日本で使う際に必ず押さえるべき点
ここは強調しておきます。
Zoho Payrollは日本国内では提供されていません

Zoho Peopleの機能一覧には、Zoho Payrollとの連携による給与計算が挙げられています。しかしゾーホージャパンの公式サイトには、Zoho PayrollとZoho Voiceについて現在のところ日本国内への提供予定はない と明記されています。
つまり、日本で使う場合の給与計算は、国内の給与計算ソフトで行い、Zoho People側とはデータ連携で繋ぐ構成になります。海外の紹介記事や英語版のドキュメントを見て「給与計算までできる」と考えていると、要件定義の段階で崩れます。
日本の労務制度への対応は自社運用で補う前提
利用者のレビューでは、日本向けの人事労務制度に完全対応しているわけではなく、一部を自社運用で補う必要があった、という声が見られます。あわせて、勤怠ルールや承認フローを細かく設定する際は慣れるまで時間がかかる、という指摘もあります。
グローバル製品である以上、これは織り込んでおくべき点です。逆に言えば、前述のカスタムフォームやワークフロー、APIをどう使うかが導入成否を分けるということでもあります。標準機能をそのまま当てはめるのではなく、自社の制度に合わせて設計する前提で臨むのが現実的です。
まとめ
- 従業員情報を土台に、勤怠・シフト・休暇・工数・評価・研修までを1つの基盤で扱える
- 勤怠はIP制限、位置情報、生体認証、顔認識に対応。オフィスと現場で運用を分けられる
- 休暇は取得日数と繰越をシステムが自動計算する。Excel管理から抜けられる
- 人事ヘルプデスクをSLAとナレッジベース付きで用意でき、問い合わせ対応の負荷を下げられる
- ワークフロー、Webhook、カスタムフォーム、カスタムアプリ、APIで自社の制度に合わせられる
- 日本ではZoho Payrollが提供されていないため、給与計算は国内ソフトとの連携が前提になる
なお、機能によって利用できるプランが異なります。必要な機能が使えるかどうかは評価版で確認してください。
AndSoでは、Zoho Peopleの導入設計から、カスタムフォームやワークフローによる自社制度への適合、APIを使った既存システムとのデータ連携までを承っています。「人事の管理がExcelと属人的な運用で回っている」という段階からご相談ください。