Zoho CRMとSalesforce、同じ機能なら年間いくら違う?
「Zoho CRMとSalesforce、結局どっちが安いの」。前回の記事を読んだ方から、いちばん多く聞かれたのがこの質問でした。今回は料金だけに絞って、同じくらいのことができるプラン同士を並べてみます。先に結論をお伝えします。
- 見積もりの前に承認を必須にする、営業の手順を型にはめるといったレベルまでなら、Zoho CRMのほうが年間のライセンス費用をかなり抑えられます。
- AIによる分析や他システムとの本格的な連携まで求めても、Zoho CRMのほうが安く収まる場合が多いです。
- 支店をまたぐ大規模な営業組織や、将来の拡張を強く意識するなら、Salesforceのほうが選択肢が広がります。
同じプラン名で比べても、実は意味がない
Zoho CRMには、無料、スタンダード、プロフェッショナル、エンタープライズ、アルティメットという5段階のプランがあります。公式サイトによると、3ユーザーまで永久に使える無料プランのほかに、スタンダード、プロフェッショナル、エンタープライズ、アルティメットの4つの有料プランがあり、初期費用やオプション料金は一切かかりません。
一方のSalesforceは、Free Suite、Starter Suite、Pro Suite、Enterprise、Unlimited、Agentforce 1 Salesという構成です。Starter Suiteの上のPro Suiteでは売上予測やAppExchange連携、高度な自動化、カスタムオブジェクトが使えるようになり、さらに上のEnterpriseではWeb APIやAgentforce、商談のスコアリングや分析が加わります。プランが上がるごとにできることが増える仕組みは両社とも同じです。
ここで注意したいのは、「プロフェッショナル」や「エンタープライズ」という名前が同じでも、両社で機能のレベルがまったく違うという点です。名前だけで並べると、違う土俵のものを比べてしまうことになります。
「同じことができるプラン」で比べると、年間いくら違うのか
そこで、機能のレベルを2段階に分けて、それぞれ近い機能同士を並べてみます。ここでの金額はすべて税抜き、1ユーザーあたり・年間契約時の月額です。
レベル1:営業の手順を型にして、承認や自動化を回したい
たとえば「見積もりを出す前に、必ず上長の承認を通す」というルールを、担当者まかせにせずシステムで徹底したいとします。Zoho CRMでは、営業プロセスを型にはめて進行管理する「ブループリント」という機能が使えます。この機能はプロフェッショナルプラン以上で利用できると、Zohoのヘルプページで案内されています。
Salesforceでは、Pro Suiteになると売上予測やAppExchangeとの連携、高度な自動化、カスタムオブジェクトが使えるようになります。この「高度な自動化」や「カスタムオブジェクト」が、Zoho CRMのブループリントに近い役割を担います。
| 比べる軸 | Zoho CRM | Salesforce Sales Cloud |
|---|---|---|
| プラン名 | プロフェッショナル | Pro Suite |
| 月額(1ユーザー・税抜・年間契約) | 3,260円 | 12,000円 |
| 10人で1年使った場合のライセンス費用 | 約39万円 | 約144万円 |
同じ「営業の手順を型にする」というレベルで比べても、10人で使うと年間で100万円以上の差になります。
レベル2:AIでの分析や、他システムとの連携まで踏み込みたい
Zoho CRMでは、AIアシスタント「Zia」が顧客ごとに連絡しやすい時間帯や方法を提案してくれる機能があります。この機能はエンタープライズプランまたはアルティメットプラン向けと案内されています。つまりエンタープライズからが、AIを本格的に使えるラインです。
Salesforceでは、EnterpriseになるとPro Suiteの全機能に加えて、Web APIやAgentforce、商談のスコアリングや商談インサイトが使えるようになります。外部の販売管理システムや会計ソフトとAPIでつなぎたい、という要望が出てくるのもこのクラスからです。
| 比べる軸 | Zoho CRM | Salesforce Sales Cloud |
|---|---|---|
| プラン名 | エンタープライズ | Enterprise |
| 月額(1ユーザー・税抜・年間契約) | 5,660円 | 21,000円 |
| 10人で1年使った場合のライセンス費用 | 約68万円 | 約252万円 |
AIや外部連携まで踏み込むと、10人で使った場合の差は年間180万円ほどに広がります。
月払いと年払いでも金額が変わる
ここまでの数字は、すべて年間契約を前提にした金額です。Zoho CRMの公式サイトでは、年間契約の月額に対して、月間契約にすると割高になることが明記されています(たとえばスタンダードは年間契約なら月1,760円ですが、月間契約だと月2,520円になります)。
Salesforceはさらにはっきりしていて、有料プランのうちStarter Suiteだけは月払いと年払いを選べますが、Pro Suite以上はすべて年間契約が前提です。Pro Suite以上を選ぶなら、1年分をまとめて契約する前提で予算を組む必要があります。
導入パートナー費用はどう考えればいいか
ライセンス料金だけを見て安心するのは早いです。実際に使い始めるまでには、今使っているExcelの顧客名簿や名刺管理ソフトからのデータ移行、画面や入力項目の設定、社員への説明といった作業が必要になります。Salesforce自身も、総コスト(TCO)はライセンス費に加えて構築費やアドオン、サポート費、ストレージまで含めて試算するべきだと案内しています。ライセンス料金は、あくまで総コストの一部という考え方です。
この構築費の部分は、Zoho・Salesforceのどちらであっても、会社ごとの業務内容や移行するデータの量によって変わります。公式サイトに具体的な金額は出ていないため、ここは実際に導入パートナーへ見積もりを依頼して確認するのが確実です。見積もりを取る際は、どのデータをどこまで移行するか、画面や項目をどれだけ自社向けに作り込むか、社員への研修をどこまでお願いするか、を先に整理しておくと、金額の比較がしやすくなります。
Salesforceが向いているのはこんな会社
ここまで見ると、Zoho CRMのほうが安く見えるかもしれません。ただし、料金だけで決めるのは早計です。Salesforceには、Salesforceならではの強みがあります。
Salesforceは、Web APIやAgentforce、商談のスコアリングや商談インサイトのように、営業組織が大きくなったときに必要になる機能が、ひとつのプラットフォームの中にそろっています。支店をまたいだ複雑な商談管理や、高度な予測分析まで見据えている会社には、将来の拡張を考えたときにSalesforceのほうが選択肢が広がります。
また、Salesforceを使える人材や、外部のコンサルティング会社の数が豊富なことも強みです。すでに取引先やグループ会社がSalesforceを使っている、採用の条件に「Salesforce経験者」を含めたい、という会社にも向いています。まず小さく始めたい場合は、無料のFree Suite(2ユーザーまで)からStarter Suite、Pro Suiteへと、会社の成長に合わせて段階的にアップグレードできる設計になっているので、無料から試すという選択肢もあります。
まとめ
料金表の見た目や、プラン名の響きだけで比べると、判断を誤りやすいです。今回のポイントを振り返ります。
- プラン名ではなく、使いたい機能のレベルをそろえてから料金を比べる。
- 年間契約か月払いか、税込か税抜かを必ず確認し、1人あたりの金額で終わらせず、実際の利用人数で年間総額を計算する。
- ライセンス料金は総コストの一部。データ移行や設定、研修にかかる導入パートナー費用も含めて見積もりを取る。
- 今すぐの安さを取るか、将来の拡張性を取るか、自社がどちらを優先するかで答えは変わる。
次回は、実際の導入のしやすさや、使い始めてからの定着のしやすさについて比べてみます。
参考にした公式情報(2026年11月3日時点)
- Zoho CRM 公式 料金プラン
- 高い費用対効果を実現。Zoho CRMの費用・料金プラン
- Zoho CRM 料金プランと機能の一覧表
- ブループリントに関するよくある質問(FAQ)
- 【Zoho CRM】Zia 日本語対応機能(3)
- 【2026年版】Salesforceの料金プランを徹底解説
- 中堅・中小企業向けSalesforce製品の価格設定
- Starter Suite:CRMを今すぐ無料で試す
- 中小企業の顧客管理を成功させる方法(Salesforceブログ)
料金や機能は変更されることがあります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。
And Soは、大阪を拠点に中小企業のDXを支援しているZoho導入パートナーです。顧客管理や業務の仕組みづくりについて、「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談いただけます。