経理の田中さんが体調を崩して3日休んだ。その間、請求書の締め処理が止まってしまった。パスワードも、どのファイルのどこを触ればいいのかも、田中さんしか知らない。似たような話を、いろんな会社で聞きます。「あの人がいないと分からない」が積み重なって、気づけば会社全体がヒヤヒヤしながら回っている。今日はその状態を少しずつほどいていく方法について、一緒に考えてみたいと思います。
属人化はサボりではなく、忙しさの結果
属人化と聞くと、特定の人が仕事を抱え込んでいる、独占しているようなイメージを持たれることがあります。でも現場を見ていると、そうではないケースがほとんど。
毎日忙しく手を動かしているうちに、その人なりのやり方が自然とできあがります。マニュアルを作る時間もないまま、気づけば「その人にしか分からない状態」になっている。誰も悪くない。ただ、忙しさが積み重なった結果として、そうなっているだけです。
例えば、受発注の担当者が独自のExcelシートを作って管理していることがあります。関数も入っていて便利だけど、作った本人以外は触り方が分からない。本人にとっては当たり前の操作でも、他の人から見ると暗号のようなものです。
「あの人しか分からない」をまず書き出してみる
いきなり仕組みを作ろうとすると、大掛かりに感じて手が止まってしまいます。まずは、社内で「この業務はこの人しか分からない」というものを書き出すところから始めてみると良いかもしれません。
- 毎月の請求書発行は誰がどうやっているか
- お客様からの問い合わせに、誰がどう答えているか
- 在庫の数字は、どのタイミングで誰が確認しているか
紙一枚にリストアップするだけでも構いません。やってみると、「意外とこんなに属人化していたのか」と驚く会社が多いです。逆に言えば、この段階で気づけたことが、すでに第一歩になっています。
マニュアルを作っただけでは終わらない理由
属人化解消というと、マニュアル作成を思い浮かべる方も多いです。もちろん大事なことだけど、マニュアルだけで終わらせてしまうと、うまくいかないことが多くあります。
作った瞬間は綺麗でも、半年後には業務のやり方が変わっていて、誰も更新しない。結局、実際の作業とマニュアルの中身がずれてしまう。紙やExcelで作ったマニュアルは、更新されないまま放置されがちです。
大事なのは、マニュアルを見なくても、システムを触れば自然と同じ手順で進められる状態を作ることです。人の記憶や気合いに頼らず、仕組みの方で「次に何をすればいいか」を示してくれると、誰が担当しても迷わずに進められます。
仕組み化は、小さく始めれば十分
「仕組み化」と聞くと、全部の業務を一気に整えないといけないと構えてしまう方もいます。でも、最初から完璧を目指す必要はありません。
例えば、お客様とのやり取りをメールの受信箱だけで管理している会社は多くあります。担当者が休むと、どこまで対応したか誰にも分からなくなります。これを、進捗状況が誰でも見える場所に記録するようにするだけでも、状況はだいぶ変わります。
あるいは、見積書の作成を特定の人のパソコンにあるテンプレートに頼っている場合、それをみんなが使える場所に置き、入力すれば誰でも同じ形式で作れるようになります。これだけでも、「その人がいないと見積もりが出せない」という状態から抜け出せます。
小さな一歩を積み重ねていくことが、結果として「誰が辞めても回る」状態に近づいていきます。
属人化解消は、退職対策だけではない
「誰が辞めても回る仕組み」と聞くと、退職や休職への備えというイメージが強いかもしれません。でも、それだけではありません。
属人化が解消されると、新しく入った人が仕事を覚えるスピードも変わり、教える側の負担も減ります。忙しい時期に、他の部署から助っ人を頼みやすくなります。結果として、会社全体の余裕につながります。
逆に言えば、属人化を放置したままだと、いつまでも「その人が休めない」「その人にしか頼めない」という緊張感が続いてしまいます。これは会社や本人にとっても、決して楽な状態ではありません。
Zohoなら
ここまで書いてきたような「情報をみんなが見える場所に置く」「手順をシステムの流れで示す」ということは、実は特別なツールがなくても、少しずつ始められることです。共有フォルダを整理する、進捗を記録する場所を決める。それだけでも一歩になります。
ただ、業務が増えてくると、Excelや紙だけでは限界が出てくることも事実です。Zohoには、顧客とのやり取りを記録するCRMや、案件の進み具合を誰でも確認できるプロジェクト管理の仕組みなどがあります。※担当者が変わっても、これまでの経緯が画面を見れば分かるようになる、という状態を作りやすい。
いきなり導入を決める必要はなく、まずは自社のどこが属人化しているのか、一度整理してみるだけでも十分価値があります。そのうえで、もし「システムでどこまでできるのか聞いてみたい」と思ったら、気軽に話を聞きに来ていただければと思います。And So株式会社では、そうした最初の一歩を一緒に考えていきたいと考えています。