zoho とセールスフォースの違い
営業活動や顧客管理を効率化するための「CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)」は、今や企業の規模を問わず導入が進んでいます。その中でも世界的に利用されているのが Salesforce(セールスフォース) と Zoho(ゾーホー) です。
どちらもクラウド型のCRMとして知られていますが、思想や価格、機能の幅、導入しやすさには大きな違いがあります。本記事では、両者を比較しながら自社に合った選び方を考える材料を提供します。
Zohoとは
Zohoはインド発のグローバル企業 Zoho Corporation が提供するクラウドサービス群の総称です。40種類以上のアプリケーションを提供しており、その中核となるのが Zoho CRM です。
Zoho CRMは営業活動を支援するツールとして、顧客情報の一元管理、案件管理、メール連携、ワークフローの自動化、AIによる予測分析などを備えています。
さらに、Zohoは「Zoho One」という包括プランを提供しており、CRMに加えて会計、マーケティング、サポート、プロジェクト管理など幅広いアプリを統合的に利用できます。つまり、CRMを超えて企業のIT基盤全体をカバーできるのがZohoの大きな特徴です。
セールスフォースとは
Salesforceは米国発のクラウドCRMです。創業当初から「クラウドでCRMを提供する」というコンセプトを掲げ、グローバル企業や大規模組織を中心に導入されています。
Salesforceは単なる顧客管理ツールではなく、営業、マーケティング、カスタマーサポートを統合した「顧客体験プラットフォーム」として進化しています。さらに、外部アプリを提供する「AppExchange」や、自社でアプリを開発できる「Salesforce Platform」によって、拡張性は業界随一です。
特に大企業向けに強く、複雑な組織構造や高度な業務プロセスを反映できる柔軟性があります。
提供範囲の違い
- Zoho:CRMを中心にしながら、会計、人事、プロジェクト、マーケティングなど企業の幅広い業務領域をサポート。
- Salesforce:CRMを中核に、顧客接点全般(営業、マーケティング、サポート)に特化。企業が顧客体験を最適化することに重点を置いている。
Zohoは「オールインワン型」のサービス群、Salesforceは「CRM領域に特化」構造といえます。
使いやすさの違い
- Zoho:中小企業でも導入しやすいシンプルなUI。必要に応じて高度な機能も利用できるが、基本的には直感的に操作できる。
- Salesforce:機能が非常に豊富で柔軟性が高い分、導入時や運用に学習コストがかかる。管理者や専任担当者を置くケースが多い。
「手軽にすぐ使いたい」ならZoho、「大規模で複雑な要件を満たしたい」ならSalesforceが向いています。
カスタマイズ性の違い
- Zoho CRM:Zoho内のアプリケーションが多数あるため、簡単に連携が可能。中小規模の企業で十分対応可能な拡張性を持つ。
- Salesforce:世界最大級のアプリマーケット「AppExchange」を活用でき、外部システムとの統合や大規模開発も可能。開発者向けプラットフォームが非常に充実している。
カスタマイズや拡張の自由度ではSalesforceが圧倒的(コスト高になりやすい)ですが、Zohoは「必要十分なカスタマイズ性」を手頃な価格で提供しています。
料金の違い
- Zoho CRM:月額2,000円前後から利用可能。包括プラン「Zoho One」は月額10,000円前後/ユーザーで40以上のアプリが使えるため、コストパフォーマンスが高い。
- Salesforce:月額10,000円前後からスタート。上位プランや追加機能を組み合わせると数万円規模になることもあり、総コストは高め。
コスト面では圧倒的にZohoが優位。Salesforceは高機能だが「投資対効果を見込める規模の企業」でないと負担が大きい。
サポートの違い
- Zoho:日本法人があり、日本語でのサポートも整備中。グローバル製品らしく英語ドキュメントが多いが、近年は日本語化が進んでいる。
- Salesforce:日本市場における体制が充実しており、大企業向けにコンサルティングや導入支援が豊富。パートナー企業も多く、安心感がある。
国内企業が導入する場合、サポート体制はSalesforceの方が充実していますが、中小企業向けに「コストを抑えつつ日本語サポートが受けられる」Zohoも着実に伸びています。
導入事例の違い
- Zoho:中小企業やベンチャー、コストを抑えてスピーディにCRMを導入したい企業。スタートアップや成長企業に多い。
- Salesforce:大企業やグローバル展開企業。複数部門や数千人規模でCRMを運用する事例が豊富。
向いている企業の違い
- Zohoが向いている企業
- 中小規模でコストを抑えたい
- すぐに導入して運用したい
- CRMだけでなく会計やプロジェクト管理もまとめて使いたい
- Salesforceが向いている企業
- 大規模で複雑な組織構造を持つ
- 世界規模で顧客体験を最適化したい
- 専任チームを置いて本格的にCRMを活用できる
まとめ
ZohoとSalesforceは、どちらも強力なCRMツールですが、アプローチと対象企業が異なります。
- Zoho:オールインワン型でコストパフォーマンスに優れる。中小企業やスピード重視の企業に最適。
- Salesforce:高機能かつ拡張性が圧倒的。大企業やグローバル展開する企業に最適。
CRM導入を検討する際は、自社の規模、業務の複雑さ、予算を踏まえて選択することが重要です。